2012年1月 5日 (木)

第2回呉服業界若手経営者の会の詳細及びご参加依頼について

第2回呉服関連企業若手経営者の会日程について

新春あけましておめでとうございます。皆様に於かれましては益々ご清栄のこととお慶び申し上げます
さて、先日よりメール及びTwitter、Facebookなどでお知らせして参りました第2回目の「呉服業界若手経営者の会」開催にあたり、詳細が決定致しましたのでお知らせ致します。
また、ご参加をご希望の方は、お手数ですがKDCPlanningまでメール、またはTwitter、Facebookでのダイレクトメッセージにてお知らせ頂けますよう宜しくお願い致します。

会期時期   2月14日火曜日 13:00〜17:00
       京都府中小企業会館 (会議室の室番号は再度お知らせします)
       〒615-0042 京都市右京区西院東中水町17番地
(西大路五条下ル東側)
        TEL.075 (314) 7171 FAX.075 (322) 3770
        http://www.chusyo-kaikan.jp/access.htm
内容     ①きくちいま氏による特別講演(着物を楽しむとは何か?)
       ②大原和服専門学校学生による「私が考える羽織物スタイリング」
       ②KDCPlanning代表石崎による業界未来展望と適正価格の必要性
       ③全員によるディスカッション形式の討論会
        取引したい小売店、問屋、メーカーとは?
        取引したくない小売店、問屋、メーカーとは?
       ④懇親会(ご参加の方はメールにてお知らせください)
参加者    呉服関連企業の若手経営者(年齢は問いません)
       経営者以外でも、志ある若手従事者も歓迎
       またきものファンの聴聞も歓迎
会費     無料 
       参加者の方々から逆に有料化すべきというご意見を頂いておりますが、
       今回も無料にて事前告知をした関係上、継続して無料とします。
       次回からは低額ですが有料化させて頂きます。
* 呉服業界若手経営者の会では小売、問屋、メーカー、悉皆、生産者においての消費者の創造ができる新たな流通の形作りを目標としています。この若手の会が呉服業界での聖域なき議論の場となればと思います。明日の業界を危惧し希望を持つ沢山の若手の方々のご参加を心からお待ちしております。

お手数ですが参加ご希望の方は下記までお知らせください。
    発足人    KDCPlanning 代表 石崎 功
         e-mail    info@kdcplanning.com
          URL http://kdcplanning.com
          Twitter @KDCplanning
          Facebook 石崎 功(いしざきこう)

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2011年11月12日 (土)

第1回呉服業界若手経営者の会の感謝とまとめ

11月8日、第1回呉服業界若手経営者の会が無事に開催出来たことをご参加頂いた皆様やご協力を頂いた皆様に心から感謝致します。

当日は正直言ってそうはいっても、たかがきものビジネスコンサルタントの呼びかけにそう簡単に同意してくれる訳がないだろうなどと自分自信で不安を抱えていたが、始まってみれば50人を超える参加者、しかも現在業界の第一線で活躍している人たちが小売、問屋、メーカー、悉皆、縫製、染工場、産地従事者など入り交じって集まってくれた。現実か?と思ってしまうくらいびっくりしたのが素直な印象だ。

また、愛知県は西尾のあづまや呉服店店主の柴川さんが、UST中継をしたら参加出来ない遠方の方々にも見てもらえるんじゃないかとご提案を頂いた。

一瞬考えたのは、ある意味呉服業界の従事者の勉強会を中継することは一般の着物ファンや消費者、コアな着物好きなど様々な人たちが視聴することでもあり、USTは相互通行のソーシャルメディアである以上、着物ファンから見たらお世辞にも良いと思われていない呉服業界に対しての意見が国会中継のような罵声を浴びられるのではないか?という心配もあった。

しかし逆にそれも良かろうと考えた。仲良しこよしの寄り合いのお楽しみ会ではなく、若手経営者だからこそ何を言われてもド真剣に勉強してやろうという気持ち出なければこの会の意味が無いからである。だから快く良い機会だと思って中継をお願いした。事実、そういった意見もあったがそれも返ってよかったと思っている。
あづまやの柴川さんのご尽力にはこの場を借りて心より御礼申し上げます。


始めに坂口昌章さんの講演にしたのは、坂口さんは日本テキスタイルデザイン協会の副理事長であり、主にはアパレルの世界で活躍していらっしゃる同じ糸偏ながらも異業種であり、世界のファッションビジネスを熟知しており、着物業界や着物そのものにおいても、並々ならぬ知識をお持ちである。きものビジネスを外から見た率直な意見や可能性を話して欲しかったので、個人的には非常に良かったと思っている。
事実、坂口さんの話は会場参加者の方々にはかなりのインパクトがあったようで会場でメモをするべくペンを走らせていた方々が多数いたのは嬉しかった。

日本きもの学会副会長であり着物伝承家の早坂伊織さんの「男物ビジネスの可能性」は、これからの男物はやり方と考え方によって無限の可能性があることを気づかせてくれた素晴らしい内容であった。

大原和服専門学園の代表学生3名が「あったらいいなと思うきもの」を発表してくれたが、一気に会場のボルテージが上がり、内容も然ることながら、次世代の有望な人材がまだまだいるのだということに嬉しくなったことは言うまでもない。また、あの後、メーカーの若手経営者が「あの子達がこれなら着たいと思ってもらえる着物がうちの会社は作れるだろうか?」という言っていたことは、業界として何かを感じ取ってくれているんだなと思った。

そのあとのルミックスデザインスタジオの芝崎るみさんは、ご存知着物デザイナーとしては超メジャーで売れっ子。またその強烈な個性は会場全体を惹付けた。プロデザイナーとしての現実的な部分での葛藤ともっと面白くないとユーザーから見捨てられるぞというシンプルでまっすぐなメッセージが様々なことを違う角度から考えさせれたと思う。

バガスたとう紙のPRをしてくれた安達友子さんは、ネットショップを経営しながら、秩父銘仙の普及にも尽力している方で今回はエコロジーの観点と今までよりも使い勝手の良いたとう紙という観点から消費者と業界の便益という視点からのPRは実に良かったと思う。事実数社からの注文依頼もあったようで、これからが期待される。彼女にはPR前に散々プレゼンの仕方など厳しいことを言い続けたので、この場を借りて陳謝したいと思っている。

最後に時間がなかった私の話は、すべて現場で起こっている現実論に徹した。各業界を背負っている経営者の方々に失礼覚悟で投げ付けた。それがどうだったかは分からないが、これが私のスタンスであり、事実から逃げない若手経営者であって欲しいという思いで伝えたつもりだ。

またその後行われた懇親会は業界入り交じって熱い議論が繰り広げられていた。そしてその中から新しいビジネスをすでに立ち上げたという話も伺っている。これは本当に嬉しいことだ。

ざっと全体像を伝えるとこんな感じである。
私の今回の狙いはまず一発目だからこそ、業界の垣根をぶっ壊して、ヨコの連動の第一歩の地場固めをしようじゃないかという事であった。

USTでは実際に「つまらない」「なにいってるかわからない」あるいはブログなどで「首をかしげる」などのご意見をもらっていることは承知している。
ただ、私の今回のテーマは「業界のセクショナリズムをぶっ壊そう」であり、その点については半歩かもしれないが前進出来たと思っている。
今日結論や解決策を出す場ではないのだ。そうではなく、様々な人と交わり、意見交換することで、そこから何かヒントをそれぞれが導きだすことがこの会の目的である。

私の本業は言うまでもなく呉服業界に特化したビジネスコンサルタントだが、毎日現場にいく。シャレにならないくらい厳しい状況の中で、業界の各業態は必死になって前を向こうとしている。
そして現場にしか分からないことが沢山あるし、それを打開していく為にどうするかをみんなが必死になって毎日考えている。

実は私もそれをすべて知っている。それに呉服というカテゴリで会社を経営する大変さや資金繰りの苦労、倒産との戦いと恐怖、売れない苦悩、私は小さい頃から身をもって体験してきた。だからこそ今独立してこの仕事を選んだ

だからこそ私は次世代の若手経営者が全ての垣根を取っ払って、ド真剣に勉強し、議論し合い、ヒントという光を見つけて欲しい。そして大いに夢を語って欲しい!そういう思いでこの若手経営者の会を興した。

今回は全くと言っていいほどまとまりの無いブログとなったが、第二回目もそういった思いで開催したい。だからこそ、是非ともまた多くの方々が参加して頂けるよう、頑張っていきたいと思います。

第1回の開催にあたりご協力頂いた方々やご参加して下さった方々、そしてUSTを通じてご視聴およびツイートなどでご意見を頂いた方々に心から御礼申し上げます。ありがとうございました。

PS
最後にブースに商品を提供してくれた藤井絞の藤井社長、絞彩苑種田の種田社長、藤工房の加藤専務、博多織の西村織物の西村取締役、色々お手伝いしてくれたBerry工房の渡邊さん、あづまやの柴川さんとスタッフの方々、安達さん、大原学園の理事長、代表学生の皆さんも本当に有難うございました。今後とも宜しくお願い致します。

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2011年10月20日 (木)

呉服業界若手経営者の会プログラム&最終決定について

11月8日に京都市中小企業会館にて開催予定の若手経営者の会のプログムと詳細が最終決定致しました。
下よりPDFファイルとなっている書面をダウンロードしてご覧下さい。

「wakatenokaisyousai.pdf」をダウンロード

また念のため同じ内容を下記に記します。どうぞよろしくお願い致します。

呉服業界若手経営者の会開催内容

この度は呉服業界若手経営者の会へのご参加のご意向を頂きまして誠にありがとうございます。
皆様の貴重な時間を有意義なものと出来るよう企画しております。
お陰さまで多くの方々がご参加頂ける予定でございますが、何ぶん会場が50名収容の会議室でございますので、窮屈かもしれませんが予めご了承下さい。

        記
会期    11月8日(火)
時間    13:00〜16:30
会場    京都中小企業会館 708会議室
      京都市右京区西院東中水町17番地(西大路五条下ル東側)
      TEL 075-314-7171
               内容
 ①特別基調講演   「日本人がきものを取り戻す日は来るのか?」
  講師  坂口 昌章氏 ㈲シナジープランニング代表取締役
             日本テキスタイルデザイン協会副会長
 ②ビジネストレンド 「男物ビジネスの可能性」
  ゲスト 早坂 伊織氏 オフィス早坂代表
             日本きもの学会副会長
 ③MDヒント     「あったらいいと思うきもの」
  ゲスト 学校法人大原和服専門学園代表学生3名
 ④MDラーニング   「きものデザインについて」
  ゲスト 芝崎るみ氏 ルミックスデザインスタジオ代表
 ⑤新製品提案     「バガスたとう紙の提案について」
  ゲスト 安達 友子氏 特定非営利活動法人 地球と未来の環境基金(EFF)
 ⑥主催者発言     「小売の現状から考える私達が目指すべきこと」
  若手経営者の会主催者 石崎 功 KDCPlanning 代表

* その他会場にはミニブースを設置して商品や学生が作成した雛形図案や帯図案などを展示します。
* また会の後18:00より懇親会を予定しており、より交流を深めて頂けるよう考えております。もちろん自由参加ですが、事前にご参加人数を確認致したく存じますので、10月30日(日)までにinfo@kdcplanning.com までメールにて出欠をお知らせ下さい。お手数ですが何卒宜しくお願い致します。

KDCPlanning石崎 功へのコンタクト
携帯 090-1536-8749 e-mail : info@kdcplanning.com
Twitterアカウント  @KDCplanning

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2011年8月29日 (月)

呉服業界若手経営者の会詳細決定

呉服関連企業若手経営者の会日程について
晩夏の候、皆様に於かれましては益々ご清栄のこととお慶び申し上げます
さて、先日よりメール及びTwitter、Facebookなどでお知らせして参りました「呉服業界若手経営者の会」発足にあたり、日時を決定致しましたのでお知らせ致します。
また、ご参加をご希望の方は、お手数ですがKDCPlanningまでメール、またはTwitter、Facebookでのダイレクトメッセージにてお知らせ頂けますよう宜しくお願い致します。

会期時期   11月8日火曜日 13:00〜17:00
       京都府中小企業会館 (会議室の室番号は再度お知らせします)
       〒615-0042 京都市右京区西院東中水町17番地
(西大路五条下ル東側)
        TEL.075 (314) 7171 FAX.075 (322) 3770
        http://www.chusyo-kaikan.jp/access.htm

内容     ①参加代表者の「取り組み」「考え方」「これからの展望」等の発表
       ②KDCPlanning代表石崎による小売動向と現状などの講演
       ③異業種ゲストの講演及び質疑応答
        第1回ゲストは㈲シナジープランニング代表取締役の坂口昌章氏
       (日本テキスタイルデザイン協会副理事長)
       ④懇親会(実費)

参加者    呉服関連企業の若手経営者(年齢は問いません)
       経営者以外でも、志ある若手従事者も歓迎
       またきものファンの聴聞も歓迎
会費     無料 
       呉服業界の志のある方々の学びの場としたいので、
       費用はすべてKDCPlanningが負担致します。
       また今回の参加者をもとに会員名簿も作成致します。

* これからの呉服業界でのビジネスの方向性や考え方のヒントや学びの場にして頂ければ幸いです。また、この会でのビジネスコミュニケーションや企業間のつながりなどができれば嬉しく思います。またどんどん皆様から関連企業社員や経営者の方々をお誘い頂ければ幸いです。是非ともご参加頂けますよう宜しくお願い致します。

お手数ですが参加ご希望の方は下記までお知らせください。
    発足人    KDCPlanning 代表 石崎 功
    e-mail    info@kdcplanning.com
URL http://kdcplanning.com
Twitter @KDCplanning
Facebook 石崎 功(いしざきこう)

当日ゲストで特別講演をなさって頂ける、有限会社シナジープランニングの坂口昌章様のプロフィールを下記のアドレスに添付しています。どうぞご参照ください。

「sakaguchi.pdf」をダウンロード

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2011年8月19日 (金)

名前を呼ばれるという非日常

昨年に引き続き、やはり猛暑はやってきた。
とはいえ、物販の消費動向の目安のひとつである百貨店売上において7月は6月に引き続きマイナスであった。天候不順や震災の影響、節電による消費意欲低下などが要因といわれているが、わかっていてもあまり歓迎しない状況である。

このお盆は猛暑を通り越して酷暑であったが、帰省もUターンも各交通機関や道路は例年以上に混雑したことは言うまでもない。
私も3ヶ月近く全く休みはなかったが、お取引先のご協力も頂き、久しぶりに盆休みなるものを頂いた。
こうなれば、恰好の自習が出来る時間だ。学生で言うならば夏休みの自由研究といったところだろうか。

今年は思い切ってホテルの接客やサービスを学ぼうと思い立った。
そしてどうせならかなり贅沢だが、ホテルの最高峰の1つ「リッツカールトン東京」を利用することにした。私自身マリオットの会員でもあるため、予約はスムーズにできたが、そこは流石のリッツカールトン。宿泊代のそれはそれは高いこと、、、

まずわかっていても感心したのはエントランスである。
車で乗り付けてみたが、私のスーツケースの名札をそれとなく見て開口一番「お待ちしておりました石崎様」と名前を呼ばれた。これは感心もするが何より気持ちが良い。
エントランスを案内するベルボーイ全員が「いらっしゃいませ石崎様!」と言う。自分が何か特別な人間だと勘違いしてしまうほどだ。

45Fにあるフロントでも「お待ちしておりました石崎様」と言われてどんどん自分自身が非日常化していく。泊まるだけなのに期待感が高まっていくのは恐らく私だけではないと思う。

部屋もやはり恐ろしくクリーンネスが整っている。
テレビの後ろ、サイドボードやベッドの下などの見えない部分。ルームランプの傘の中までもホコリ1つない。
これはリッツカールトンのクリーンネスのコンセプトでもある「前の宿泊客の痕跡を残さない」というポリシーの1つであろう。隅から隅まで感心させられる。

そしてコンシェルジュに電話しても「コンシェルジュデスク○○です。ご用件をお伺い致します、石崎様」とここでも名前を呼ばれる。
レストランに行っても、バーラウンジにいっても、部屋番号でわかるのかどうかは定かではないが、名前で呼んでくれる。非日常という空間をここまで徹底するとホテルから一歩もでなくても充分な満足感を得られる。そして高いと思った宿泊料金もその満足感によって高い納得に変わる。

このホテルの中では何回自分の名前を呼ばれただろうか?
そして自分を名前で呼ばれるという当たり前のことがこんなに心地よく、また非日常を演出してくれるものなのかということも分っていたことだが、体験することでより理解度が深まる。

そこで考えてみた。
ホテルでのステイも一種の買い物だが、何を買うにしろ買い物は非日常空間ではないのか?高級ホテルだけでなく、日用品を購入するスーパーやホームセンターなどでも、売場に入る自分は非日常空間に充分なり得る。

もし、イオンやイトーヨーカドーなどで、イオンカードやIYカードで購入した時、レジのスタッフが「いつもご利用ありがとうございます!○○様!」と自分の名前も付け加えて言ってもらえたら、ちょっといい気分になるだろう。それが例えば食料品売場のレジであったとしてもだ。
この瞬間に買い物は非日常体験となり顧客のロイヤリティは多少なりともアップすると思うのは私だけだろうか?

さあそこで私が関わっている呉服店はどうだろう?

小売店としては一品単価の高い商品を扱っている。あまり好きな表現ではないが「嗜好品」と言われている商材だ。しかし、呉服店の販売でどれだけお客様のことをきちんと○○様と言っている店があるだろうか?

最近の呉服店の接客は、かなりと言うのがオーバーでないくらいにレベルが低下していると思う。
毎日着物を着ている人ならまだしも、とっておきの時に、または特別な日に着物を着るという人が絶対数である。そのお客様に対してこの「非日常空間」を演出できているだろうか?
ここで私が言う「非日常」は夢見心地でいられる空間という意味である。それはお客様が買っても買わなくても、お店や接客を通してそういう空間にしてあげられているかどうかである。

足袋一足や腰紐1本のお客様であっても、もしかしたら人生最高の記念日に着る着物に使う為のお買い物かもしれない。そういう意識でいれば100万円の接客も300円の接客も全く同じ接客になるはずである。
それを「小物客」「着物客」あるいはもっとヒドイ表現をすればただ好きで夢見心地で将来こういう着物が欲しいと思っているお客様を「冷やかし客」などと思って接客レベルを分けていないだろうか?こういう店が或は接客がもし思い当たるなら絶対に戒めるべきである。

初めてお会いするお客様のお名前を頂くのは確かになかなか難しい。
だが、もし何かのキッカケで話の中で知ることが出来たのならば、是非お客様をお名前でお呼びしてみて欲しい。そうすることで多くのお客様が、購入の有無に関係なく、そのお店という空間が非日常空間となり、滞在時間が長くなるだろう。滞在時間が長くなることで着物などの商品提案が出来、もしかしたら売上というものに繋がるかもしれない。

もしそうならなくても、入りやすく感じの良い店として好印象を持って頂き、「また来たくなるお店」になるかもしれない。

今の呉服店にはお客様が疑問に思うことや誤解を招く接客態度、不快に感じる言葉使いが残念ながら多いことも事実だ。販売に魔法の言葉は存在しないと私は断言したい。接客はお客様に喜んで頂けることの行動や言動の積み重ねである。そしてその延長線上にお客様の評価である売上があると考える。もちろん商品の良さや適正価格、お店全体の雰囲気やディスプレイなど様々な要素も重要だ。

そして買い物は非日常を体験できる場でもあり、そういう欲求を充たしてくれる空間は満足度も高い。

その非日常を創る魔法の言葉がもしあるとすれば、それはお客様をお名前でお呼びすることかもしれない。
相対する人を名前で呼ぶ。そんな普通のことが小売の現場では、お客様を非日常の世界へ誘う魔法の言葉なのかもしれない。

小売店に従事する方々は是非とも試してみて欲しい。ただし、心を込めて言うことだけは忘れずに・・・・

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2011年8月11日 (木)

呉服関連企業若手経営者の会発足(案)についてのお伺い

呉服関連企業経営者の皆様に於かれましては常日頃より直接的、間接的に大変お世話になっております。
さて呉服業界は市場縮小の流れが一層速度を増し、今後の方向性が定まらない状況が続いていると思います。
そこで、これからの呉服業界を新た方向に導く若手経営者の方々が、流通段階や業種に限らず意見交換や学ぶことが出来る場づくりをしたいと思っています。
まずは下記のような内容で発足することが実現出来ればと考えております。
皆様のご参加意思をお伺い致したくお知らせ致します。
なおご参加ご希望の方はKDCplanningまでメールまたはTwitter、FacebookからDM頂ければ幸いです。宜しくお願い致します。

☆実施案

会期時期   10月または11月初旬の平日
       2ヶ月に一度の定例会方式

内容     ①各参加者の「取り組み」「考え方」「これからの展望」の発表
       ②KDCPlanning代表石崎による小売動向と現状などの講演
       ③異業種ゲストの講演及び質疑応答
       ④懇親会(実費)

参加者    呉服関連企業の若手経営者(若手とは自己申告)
       経営者以外でも、志ある若手従事者も歓迎
       小売店、卸、メーカー、悉皆、染工場、買い継商、産地など業態は問いません。
       
場所     基本的には京都(東京や各産地での希望があれば随時検討致します)
       人数によって開催場所を決定(組合、公共施設等の会議室など)
       
会費     無料 (ただし多数参加により大会場になる場合は除く)
       呉服業界の志のある方々の学びの場としたいので、
       費用はすべてKDCPlanningが負担致します。
       また参加者発表に使用するプロジェクターやハイビジョン
       モニターなどが必要な場合は事前のお申し出があればご用意します。

参加ご希望の方は下記までお知らせください。またご希望の時期のご提案があればお知らせください。
    
発足人    KDCPlanning 代表 石崎 功

e-mail    info@kdcplanning.com
     
URL     http://kdcplanning.com

Twitter    @KDCplanning
Facebook   石崎 功(いしざきこう)

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2011年7月 1日 (金)

小売の仕事とは何か?

最近「企業価値」や「ブランド価値」といった言葉が気になる。

もちろん難しいことを考えるわけでもないし、考えられるわけでもない。
ただ、企業の価値やその企業ブランドの価値は様々な意味で重要だとひしひしと感じるのである。

上場企業で言えば、株式数×時価総額で大体の企業評価はできるのかもしれないが、非上場企業でも価値の高いところは山ほどある。経済産業省の企業価値の算出方法を見てみると、代表的なもので「DCF法」なるものが使われているようだ。「ディスカウント・キャッシュフロー」の頭文字をとって呼ばれているようだが、企業が生み出すと思われる保有資産を活用し、継続的な付加価値生み出す力を定義づけて算出するらしいが、私には難しすぎて理解し難い。

そう考えると、呉服小売店の価値はお客様の評価のバロメーターである「売上高」が目安になることは間違いない。ただし、売れれば価値の高い店だとは限らない。何故なら買った人が幸せにならない販売や売上はその店にとって何の価値も意味もないからだ。少なくとも私はそう思っている。

私の尊敬する株式会社やまとの矢嶋孝敏会長は「お客様を護る」ということに全社を挙げて取り組んでいた。

同じく私の尊敬する有限会社シナジープランニングの坂口昌章氏は「消費者がワクワクできないものはブランドではない」と言っている。

どちらも消費者がどう評価するかが大切であって、提供する側が一所懸命だろうが、どんなに苦労してようが、消費者から評価されなければその企業もブランドも価値は無いに等しいのだと感じる。非常に厳しい考え方かもしれないが、マーケットイン発想というのはそういうものかもしれない。

私はどう思うかというと、小売りの仕事とは「お客様に喜んでもらうこと」だと常日頃から思っている。前回のブログでも触れたが、これは小売業における営業はもちろんのこと商品、経理、総務に至るまで、全てのセクションにおいても変わらないと思う。
いわゆる「誰から給与をもらっているか?」という単純なロジックである。

損益計算の大原資は「売上高」であり、それが全ての源になる。キャッシュフロー計算書においても営業活動によるキャッシュフローがおおもとになることは誰でも分かることだ。
そしてその「売上高」はお客様のその店や商品、販売活動への評価であるからこそ、お客様に喜んでもらい、その対価として売上という評価を頂く。

営業が思わしくない時に、真っ先に考えてしまう部分はどうしても「やり方」になってしまう。
「集客のやり方」「販売のやり方」「催事のやり方」など様々なやり方を考えることから始める。決してそれを否定しないし、ごく普通のことである。しかしながら、必ず確認しなければいけないのは「そのやり方はお客様に喜んで頂けるかどうか?」ということである。

お客様に喜んで頂けないやり方は結果的にお客様を減らす。減るならまだしもお客様への不信感を招き、社会から排除されるような結果にもなりかねない。そういった企業は呉服業界でも嫌というほど見てきただけに、是が非でも意識して欲しい部分だ。

つい先日も悲しいというか情けないというか、何とも言えない恥ずかしさを感じた催事を目にした。もちろん私は関わっていないが、あるお店の改装閉店売り出しの内容である。
「加賀友禅を1980円で販売し、仕立ては必ず受けてもらい、法外な値段の付いた帯を抱き合わせで勧めて、結局は50〜60万以上の金額になる」というものだ。今頃になってまだそんな低俗なことをしているのかと飽きれてものが言えないどころか、怒りでその店名を公表したいくらいだ。もちろんそんなことはしないが。

加賀友禅とうたっているからには、加賀染振興協会が認めたものであるのかもしれないが、ものの善し悪しや真贋を問わず、そんな販売方法があるいは集客方法が、お客様に喜んで頂けると真剣に思っているのならば、その店は小売をする資格はないと私個人は強く思う。法律に抵触するしないの前にお客様も着物産地を含む呉服業界を馬鹿にしているとしか言いようがない。

もちろん、決算売り出しであるとか、創業祭であるとか、特価催事自体は別に否定はしないし、お客様にとっても満足度は高いものも多い。ただここで言っているのは、結果的に産地ブランドの一般的な価値認識を利用して、抱き合わせ的な販売によって結果的に利益を確保するという詐欺同様の価格表示で集客をするようなやり方は許せないという事である。そこには着物振興も、ファン作りも、産地活性化も何もない。ただあるのは消費者を欺き、利益を搾取することだけである。

またこんなやり方を参考にしようとする輩もいるらしいから救いようがない。

こんなことをすること自体、呉服業界の不信感を増長させ、自らの信用も失い店自体の寿命を縮めることになるのをまだ気づかないのかと激しい怒りを感じる。

もし私の言うことを「キレイごとを言ったって売れなければ意味がない」というのであるならば、こう返したい。

「キレイごとも出来ない汚れた店は存在する意味がない」

私はきものビジネスのコンサルタントであるから、当然店の売上向上や経営自体の安定のために様々な提案や実務をする。一歩間違えば、これだけ批判したことを気がつかないうちにやってしまうとも限らない。だがやはり、私は「小売りの仕事はお客様に喜んでもらうこと」が原点にあり、厳しい状況下で1円でも売上が欲しい時に様々なことを考えたとしてもそこを基準に正しいか間違っているかを考える。いうなればこれが私の考える基準であり憲法でもある。

ちなみに今日は呉服店系フォトスタジオにて仕事をしていたが、こんなことがあった。
叔母様と姪御様が一緒に着物姿で写真を撮影に来店された。お二人とも、撮影時は訪問着をお召しになり、撮影が終わったら二人して夏の琉球絣に着替えられた。実は明日が姪御様のお誕生日で、お二人でこれからお食事に出かけるらしい。真夏に近い気温の中で、お見事という他は言葉が見つからないほどの美しい変身ぶりであった。

そのお客様が帰りがけにこう仰られた。
「今年のお誕生日は最高の思い出になりそうです。なにしろ一生残るものを作れたのだから。それに最近着る機会がなかったんだけど、自分の写真を撮って頂いて、またどんどん着物を着る気になれました。ありがとうございました。」

スタッフ一同感動の嵐であった。もちろんお帰りはお客様が見えなくなるまで全員でお見送りをした。まさにお客様に喜んで頂く小売りとしての最高の仕事ができたといえよう。

私たち呉服の仕事に携わる人間は、お客様に着物というものを通して少しでも人生は楽しいと思って頂けることでお客様から給与を頂いているのだ。

そして小売の仕事は、どんな業種であれ「お客様に喜んで頂く」ためにある。
そこに小売という仕事やその企業の価値が存在すると思う。

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2011年6月25日 (土)

コンサルティング手法の変換「コンテンツからプロセスへ」

最近読む本の量が増えてきている。
なにも速読が出来る訳でもないが、1日に2冊も読んでしまうことがある。もちろんじっくり腰を据えて読む時間がある訳ではない。もっぱら移動中、特に空港や飛行機や新幹線が私の図書室となっている。

最近読んだ本は宮城谷昌光の「香乱記」だ。全4巻で秦〜漢の時代、始皇帝死後、劉邦と項羽が天下を争う中、真の王者といわれる斉の国の田横というヒーローを描いた古代中国の歴史小説である。

日本の戦国時代、とりわけ織田信長、豊臣秀吉、徳川家康などの活躍を描いたものも大好きではあるもののやはり、古代中国の兵法や政治などはとりわけ興味深いものがある。日本の歴史偉人たちも古代中国から学んだ点は多々あるが、その古代中国の偉人達は経験則もあるがほとんどが無から作り上げた政治観であるから凄いことである。

読んでいると不思議な共通点があるのが「人」をどう大切にしていくかということである。当時は今と違い、封建的であり、階級で人を分けていたり、大殺戮なども当たり前のように繰り返され、人を大切にしていたとは思えないことも多々あるのだが、それでも偉人といわれる皇帝や将軍は兵やその国の民を大切にしていたように思われる。

私はご存知の通りきものビジネスコンサルタントとして小売店をはじめとする多くの呉服関連企業のコンサルティングをしているが、今では営業戦略だけではなく、経営はもちろんのこと、労務管理、人材教育、経理、財務管理などバックヤード的なものも守備範囲に入ってきており、かなり深くその企業に入り込んだ形へと変化してきている。これは非常に責任が重いが全てが連動し関連している以上は営業だけ、商品だけなどの断片的なコンサルティングは反って難しいことなのであるから、外部の人間である私を信用してそこまで深く仕事を依頼してくれることは非常に有り難いことである。


そうなってくると、自然にコンサルティングとしての考え方も変化してくる。呉服業界にありがちなコンサルタントの手法は、「問題点の抽出」「打開策の立案」「営業手法の提案」といった順序で進めていく形が多く、最も多いパターンは「このやり方をやって下さい」という成功事例集を片手に「こうすれば売れる」的なコンテンツコンサルティングである。

確かにこれは経営者にとっては楽だ。どこかで成功したやり方をその店に合うようにアレンジして、組み立てて、あとは成功するはずだからやって下さいと言えばいい。コンサルタントも楽である。プラモデルで言えば、既に部品は揃っていて、その人好みの色に塗り直して、「あとは組み立てて下さい」と言えばいいだけの作業である。
これだけのことで月に何十万も報酬をもらうのだから羨ましいとしか言いようがない。

ただこれには弱点がある。
経営者もそこで働く社員も「自ら考える」ということをしなくなっていくからだ。
言われた通りにやっていれば、とりあえずは大丈夫だろうなどという方向に行ってしまう危険性をはらんでいる。
「自ら考える」という力は小売業には絶対必要なスキルである。何度も私はブログに記しているが、「どこ」「なぜ」「どう」を常に考え、修正、改善、発展していくことが、会社を強くしていく。それは経営者はもちろんのこと、社員にも必要なスキルである。だから「自ら考える」ことのできる店や企業はやはり強い。

しかしながら、いまだ成功例の寄せ集めをアレンジするだけのコンサルタントが多く、うまくいかないとその企業の体質や能力のせいにする輩が多いのも現実である。
このブログを読まれている小売店のオーナーや呉服関連企業の経営者の方々は「V字回復」「劇的業績改善」などと叫んでいるコンサルタントには慎重に接した方がいいとご忠告申し上げる。私の知る限りそれを実行した多くのお店の結末がほぼ例外なく同じであるからだ。V字回復や劇的回復は短期間であり、麻薬効果でしかないのである。


これからのコンサルティングは「プロセス」を重視することが重要であると私個人は考えている。その店や企業の問題に対してどうすれば改善の方向へいくのかを経営者をはじめ、そこで働く全ての人達が自ら考え、仮説を導き出すようにしていくことがコンサルタントとして重要であると思う。そのためには、その店や企業のヒト、モノ、カネ、そしてそこから生まれるコトまでも、ありとあらゆる方向から見て考えられるように導いていくようにすべきだと考える。
しかしながらこれは尋常ではない。それにはパターンや成功事例を当てはめることは出来ないからだ。それぞれが全くといっていいほど環境も状況も経緯も異なるからである。

とはいえ、それを考え続けるのがコンサルタントであり、それで初めてその報酬に見合った、またはそれ以上の仕事ができるのである。

私はいま、経営者や社員の方々に念仏のように繰り返し言っていることがある。
それは
「小売仕事とは何か?小売の仕事とはお客様に喜んで頂くことである」

お店の接客、店の陳列、商品構成及び管理、社員の身だしなみ、経理、労務管理、財務管理、人事、資金調達、管理まですべてお客様に喜んでもらうためにあると話している。であるならば、1つ1つを担当する社員や全てを網羅する経営者はどうすべきか?を常に考えることが必要であると言っている。

そしてもうひとつがその発想を基本とした「ミッションとポジション」である。

お店や企業のミッションとはなにか?をそこに関わる全ての人が共通認識を持っていなければいけない。
それからその店のお客様から見たポジションとはどこにあるのか?
価格の安さなのか?どこにも負けないサービスなのか?、品質の良さなのか?それとも最高のホスピタリティとセンスなのか?etc…
お客様からどのポジションで見られているのかが明確であればあるほど、一定以上の評価は得られる。ポジションの不明確な店や企業にはお客様はつかない。

しかしながらこれらも経営者や社員が自ら考えるというスキルが絶対条件だ。どこかの成功事例の踏襲の繰り返しでは、ミッションやポジションは生まれない。
だが、呉服業界はまだまだ成功事例踏襲型経営が多すぎる。こっちの水は甘いぞなどと言ってばかりいるから、業績が上がらない理由を外にもっていく。

少なくとも私がお手伝いをしている企業にはこのプロセスコンサルティングを徹底して実行しているつもりだ。確かに時間が掛かるし、即効性はない。だが、決して悪い方向には向かない。段差の低い階段を上るがごとくの経営をしていくことが、その企業の安定と永続に繋がると確信している。

そしてそれをやる上でやはり大切にしなければいけないのが「人」だ。

お客様という「人」。社員という「人」。経営者という「人」だ。この「人」たちを大切にし、自ら考える力を向上させ、自分のしている仕事は楽しいと思ってもらうことが、小売の使命であるお客様に喜んでもらうことに繋がり、その対価として売上という評価を頂く。

こうなっていくためのコンサルティングという仕事を私はしていきたい。

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2011年3月24日 (木)

担う人

昨日のブログは沢山の業界の方に読んでいただいたようで、「元気が出た」「下を向いている場合ではない」などなど多くの言葉を頂き、あんな乱文でも少しは業界のためになったかもしれないと思うと非常に嬉しい。

今日は静岡県の沼津市を代表する大きな呉服店へ昨日のブログ内容のごとく、短期計画の立て直しと営業対策等を一日かけてやってきた。
沼津は東京電力圏内であり何度か計画停電を実施されている地域である。漁港が近く海の幸が豊富で港の近くは風光明媚な素晴らしい地域である一方で、機械工業の会社なども多く、港町ながら産業も盛んな活気のある町である。

しかしながら今回の震災において津波の恐怖を報道で目の当たりにし、最近ではお隣の富士宮市を震源とする震度6弱の地震があったり、最近の計画停電においてすっかりと活気と消費が冷え込んでいる状況であるという。

また、卒業式、卒園式などが相次いで中止となる他、式は開催するけれども着物は着ないで欲しいという残念なお達しが出て、袴レンタルやお母さん方の訪問着などの着付けなどの大量のキャンセルが出て意気消沈していた。余談ではあるが着物着用自粛の理由を聞いて驚いたというか飽きれたというか、半分笑えてしまった。

「着物を着ていると万が一地震があったら逃げ遅れる」

こんな馬鹿げた屁理屈のような理由があるだろうか?こんなことを言ってはいけないが、学業の中で当然のことながら日本の文化や歴史を教育する機関が、こんな馬鹿げた理由を掲げて着物着用を自粛させるなど教育者としてあっていいのかと悲しくなる。
その呉服店の社長といざという時は裾をまくって草履を脱ぎ捨てれば洋服なんかよりもよほど早く逃げられると笑い話をして怒りを抑えたくらいだ。

それよりも可哀想なのは晴れの日に袴やいっしょに着物を着て思い出に残すことを楽しみにしていた方達だ。キャンセルに来たときのお嬢さんの悲しそうな顔と楽しみにしていたお母様の表情はかける言葉もないほどだと社長が仰っていた。こんなことまで考えて学校側は今回のことを決めたのだろうか?
被災地で物理的に無理ならばそれは逆に気の毒であるし、仕方が無い。しかしながら普通に式が出来る状況で、しかも日本が大変な中でもこの一日だけは笑顔で晴れの日を迎えさせてあげて最高の思い出にしてあげることを教育者として優先させてあげられなかったのかと疑問に思う。これは過剰な自粛としか言いようが無いように思えるのは私だけだろうか?

今日その店で卒業式の写真の出来上がりを取りにこられたお嬢様が来店された。そのお嬢様はあの死亡者を出した卒業式での天井落下事故の前日にその式場で卒業を迎えられた方だそうだ。「亡くなられた方には申し訳ないけど前日で良かったですね?」とお声をかけたら、笑顔で「本当にそうですね。幸運だと思ってこれから頑張ります」と仰られた。運命とはいえ何とも美しい言葉だろうと関心してしまった。

そういった意味でも何かを修業するということは本当に素晴らしいことである。
私も着物専門学校で非常勤講師としてきものビジネスや商品企画などを指導しており、その学校からも数名の卒業生が呉服業界に旅立っていく。

私の考え方として、着物を学ぶ上で和裁や染色、織といった技能を学ぶことは大変良いことであるが、呉服業界に進む上で「商いの基礎」というものも学ぶ必要が絶対にあると考えている。
多くの着物専門学校の生徒は心の底から着物が好きな人である。好きだからこそ専門的な知識と技能を学ぶのだが、その多くが呉服業界の独特の空気やその商売の流れについていけず悩み苦しむ。

専門知識は知っていても業界独特の慣習や異国語のような専門用語は理解出来ず、着物が好きで夢を持って業界に飛び込んだにもかかわらず途中で挫折してしまうことが非常に多いことも事実である。そういった部分を少しでも学んでもらい次世代の業界を担う人になってもらえたらと着物業界の人材育成事業にも注力しているのである。

「仕事は難しい。でも難しいことは少しでも分かると楽しくなる。そして次の難しいことを分かろうとする。これがモチベーションだ」

これが私の持論である。だからこそ様々な自分の経験をもとに教鞭をとっている。

今日のブログの最後に、今年卒業する学生の方々が私の授業に対してのレポートを書いてくださり、その内容に感激し、喜びの涙をこぼしてしまった
自己満足ではあるが、恥ずかしながら紹介させて頂きたい。

〜学生Aさんのレポートより〜

マーケティングの講義では、着物の流通について過去から現在までの経緯や業界の仕組みなどを始めに教えていただきました。
大原学園に入学する以前から知りたいと思っていた内容で、でも自分の力で調べる突破口も見つけられずにいたので、マーケティングの講義が始まった時はとても嬉しかったです。

着物が売れなくなっている理由や、業界が抱える課題の答えがまさに「マーケティング」なのだとわかりました。生産から小売りに至るまで「いかに顧客の心を満たせるか、喜ばせるか」を貫く姿勢が大切だと思いました。

石崎先生がプレゼンのお話の時におっしゃっていた
「恋人へのプレゼントを渡す演出をするつもりで」という事も、とても納得出来ました。好きな人を喜ばせたいという気持ちと同じくらい熱意を持って相手の立場や気持ちを考えて、様々な作戦や仕掛けを行う企画や商品としてユーザーに届ける。一歩につながっていくのだと思いました。

ただ、実際に少し商品企画をやってみて難しいと感じた点もたくさんありました。しっかりとターゲットを絞り、そのターゲットが欲しくなるような商品を考えるその段階でつまずきがありました。

ターゲットは自分近い20代〜30代前半と決めました。しかし、情報収集が足りず、作る商品がどうしても「自分が欲しいと思うもの」に傾いてきてしまいました。

自分本位や独りよがりでは商品企画にはなりません。多くの人の心をつかむ商品が売れる商品となり、企業の利益につながる。そして企業はまた魅力的な商品を世に送り出す。

以前は、利益を求める事と顧客を優先に考えることは反対のことのように思っていました。まさにかつての着物業界のようにです。
でもマーケティングを受講してそうではないと分かりました。

企業にとっても、顧客にとっても利益がある関係が理想だと今では思っています。
まだまだ勉強不足な点がたくさんありますが、マーケティングで習った事を思い出しながら社会で更に学び、経験を積みたいと思います。
                        〜以上〜


学生は学んだ事が「知識」となり、社会人は経験した事だけが「智慧」となります。

明日の呉服業界はこのような若い力が失敗を恐れず、チャレンジしていく事で確実に新たな道を進んでいける事と信じています。

ご卒業おめでとうございます!
そしてこれから同じ呉服業界の同志としてよろしくお願い致します!

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破壊と創造

まずはこの度の東北太平洋沖大震災の被害に遭われた方々へのお見舞いと残念ながら尊い命を奪われた方々へのご冥福を心からお祈り申し上げます。

今月のブログを書く上で避けることの出来ない大きな出来事が起きたのが3月11日の14時46分。
その時私は愛知県の碧南市のある呉服店で社員研修会をしていた。地震大国日本に住んでいる以上は生まれてから数えきれないほどの地震を経験してきているが、初めてといってもいいくらい長く嫌な揺れであった。そして直感的にどこかで大きな地震が起きているのではないかと感の悪い私でも感じた次第だ。
しかしその悪い予感が遥かに予想を超える自体になろうとは思いもしなかった。

基本的に人間は自然の猛威には無力であるが、その高い知能と技術によって被害を最小限に止める能力と経験を兼ね備えている。しかしながらそれを無惨にも粉々にする考えられない力が押し寄せてきたことは、不運以外の何ものでもない。たとえば釜石のスーパー堤防は6m。いままでの災害経験と今ある技術と頭脳を結集して設置した日本最大の防護壁であり、多くの科学者でさえ大津波が来てもあの堤防を超えることは無いと思っていた。
それがいとも簡単に・・・・。

日本人はこれまで幾多の天災から見事に復活してきた

地震でいえば古くは関東大震災、新潟地震、阪神淡路大震災。大津波よる悲しい過去もある。奥尻の津波被害。火山噴火でいえば有珠山の大噴火、雲仙普賢岳の噴火による土石流被害、三宅島の三原山噴火被害。つい最近の新燃岳の噴火。台風では伊勢湾台風、最近では奄美の洪水及び土砂災害。例を挙げればキリがないほどの天災を見事克服してきた。

そして第二次世界大戦という戦争という名の憎むべき人災。

その都度多くの尊い人命が失われ、堪え難い被害を被り、深く刻み込まれた心の傷など生きとし生けるもの全てに何らかの影響を与えてきた災害の繰り返しの歴史であったが、誇るべき日本人はいつもそれを復興という名の下に見事克服してきた偉大なる民族であることは間違いない。

そして今新たな災害に立ち向かおうと日本が1つになりつつある。大震災と大津波というとてつもない天災とそれが引き金となった福島原発事故という災害がまとめてやってきた。
しかしそれでも誇り高き日本人は必ず克服することは明白であるし、信じて疑わない。

呉服業界も同じく幾多の試練の連続を乗り越えてきた生命力の強い産業である。奈良時代に「店(たな)」という文化が入ってきて以来、今と形は異なるとはいえ「作る」と「売る」を商売として発展させ、それを連動するための仕組みを作りながら独自の「流通」というビジネスモデルを構築してきた。

その間には戦乱の世もあれば、泰平の世もあり、江戸時代中期の奢侈禁止令による政治的弾圧にもオイルショックやバブル崩壊、その後押し寄せる平成大不況、リーマンショックにみるような経済の混乱にまで規模は縮小しながらも耐えてきた。だから今回の震災においても負けないという期待と決意に近い自信をもっている。

ただ不安がないわけではない。

こういう状況の場合、被害の形は2通りある。
直接的被害」と「間接的被害」だ。

直接的被害とは今回の震災で言えば地震や津波といった天災によって店舗を破壊されたり、商品がダメになったりという営業自体が全く不可能といった状態である。
北関東から東北は呉服小売店は業界にとって大きな市場であり、その売上シェアは非常に高い。よって呉服業界にとっての売上損失は非常に大きいのである。
実際の被害では、建物自体は大丈夫でもスプリンクラーの作動によって商品がすべて水浸しとなってダメになってしまったという所も数多く存在する。また、当然の如く建物の倒壊や津波による被害は大きい。

これから復興するにあたっての資金は非常に厳しい。ダメになってしまった商品は地震保険や火災保険に加入していればある程度の保険金はおりる手はずになっているが、その他の建物自体の建て直し、改装などの費用、従業員などへの給与、営業開始に当たっての広告宣伝費、商品調達などなど営業再開させるためには膨大な費用が発生する。

もちろん災害における中小企業助成金制度は存在し、今回の甚大な被害にあった被災地に対しては消防署の罹災証明があれば、比較的に低い金利にて借り入れ出来る。ただ借入金の上限はあるためにすべて足りる訳ではない。これからの売上予測などを考えるとこれを機にやむなく廃業を考える店も当然あり得るだろう。
もちろん小売だけではない。地方問屋もその直接的被害は尋常ではない。地方問屋とは京都などの集散地における大手問屋だけでは距離的にタイムリーな商品調達が出来難いために大手問屋からその地域への流通を請け負う問屋であり、小売店にとっては非常に重宝する存在だ。ここも同じように被害を受けている。

またきもの産地として東北は比較的日本海側に集まっているが、それでも岩手の南部古代染め、南部菱刺、宮城の仙台平、藍染め、最近復興した福島県昭和村のからむし織などがある。少なからずとも影響は受けている。
それ以上に素材関連がかなり影響をうけている。特に福島は養蚕が盛んであったが、とくに撚糸(撚りをかけた糸。様々な撚り方で豊富な素材を作ることが出来る)は非常に精密な機械であるが今回の震災によってかなりの狂いが生じて操業出来ないようだ。

もう一方で私がもっとも恐れていること。それは間接的被害だ

まずは多くの犠牲や避難状態にある人々や原発事故の緊張感や放射能物質による汚染などの多くの被害の報道が連日流されることで、被災地以外の人々に「自粛」や何をやるにも不謹慎に感じる」などから起こる消費抑制だ。

特に生活必需品においても消費が抑制されていたり、関東では停電によってショッピングセンターやその他店舗が昼間でも暗く、ガソリンなども被災地が不足しているために使用を制限する。そういう状況の中で、嗜好品である呉服はいうまでもなく消費すること自体が不謹慎だと思われてしまう。この全国民に流れる自粛被害ともいえる消費抑制は経済に大きなブレーキをかける。

現に4月の被災地以外の呉服店の殆どが催事や売り出しなどを中止しており、小売店、問屋、メーカー、そして産地が過去に無いダメージを受けることになる。

そして私が最も恐れているのが資金ショートである。
通常商品仕入れの取引は売掛取引(現金)と手形取引が使用されるが、呉服のような原価の一品単価が高く商品回転率の低い商材は手形取引が慣習となっている。もちろん資金力のあるところは、より取引上の好条件を考えて売掛取引を多用する場合が多いが、殆どの場合手形取引である。

しかしながら呉服業界は現在も手形サイト(支払期日)が長いことで知られている。90日手形であれば短い方だが、多いのは120日〜180日であり、中ではそれ以上の長さを設定している所も珍しくない。

仮に120日とすれば手形を振り出してから4ヶ月後であるから、4月末が支払期日の手形とすれば12月の売上分が支払われることになる。12月はどの呉服店も歳末売り出しの催事や振袖セール、宝飾品の売り出しなどを多くやっており、売上額も大きい。売上額も大きければ仕入れ先への支払金額も比例して大きくなる。通常であればこの4月に割れる手形の決済分は3月から4月初旬における営業で賄う場合が多いが、それがこの状況である。

ブログ読者の方々はご存知かと思うが、手形支払期日までに振り込むことが出来なければ「不渡り事故」となる。これを2回してしまうと銀行取引停止となるため事実上の倒産となる。資金的にある程度の余裕のあるところならば数ヶ月は耐えられるとは思うが、そうでないところは大きな問題である。

また、その受取手形をもっている川中、川上の業者も同様である。

私は経営のお手伝いをしている小売店に対しては営業できるならば止まってはいけないと3月も4月も積極的営業をするように呼びかけている。もちろんお客様の気持ちを逆なでするような手法はしない。しかしながら、被災地ならともかく、それ以外の場所で通常通り営業出来る立地であるならば「攻め」は必要である。

これからの3ヶ月の短期計画を再度練り直し、いかに売上確保と顧客創造を行っていくかを指導している。もちろんそのためのやり方も対策もある。ようは状況をキチンと把握し、出来ることを模索しながら営業戦略を立てていくことは絶対的に必要だ。

もしブログ読者の方々で呉服関連企業の経営をなさっている方がいるならばあえてこうエールを送りたい。

「大変な状況を大変だと傷の舐め合いをして傷口を更に拡げるよりも、大変な状況だからこそ小さな創造を積み上げていきましょう。」

「小さな創造」とは出来る範囲でのアイディアと戦術で営業をしていく。もし結果が出なくてもそれを続けていく。振り返ると大変だと騒いでいるだけよりも意外に売上額という積み木は積み上がっているはずである。ということだ。

そして被災地外の着物ファンの方々。是非とも今まで通りの消費をして頂きたい。確かに被災地の方々は大変だし気の毒な状況だ。しかしその方々が復興する時に経済自体が崩壊してしまっていたら、復興することも出来なくなる。

被災地の呉服関連業者に夢を持たせて下さい!まだまだ呉服もやれるんだと思えるようにしてください!それが最大の励みなります!

そして今回の悲しく無情な破壊は必ず新しい創造へと繋がると信じている。

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