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2010年2月

2010年2月28日 (日)

加賀友禅と小松の魔法使い

今日は思いも寄らなかった人からツイッターでフォローをもらった。加賀友禅の最高峰に名を連ねる方のご子息で同じく加賀友禅作家をなさっている。ツイッターというのは本当に素晴らしいものだとつくづく感じた。そして加賀友禅は私がこの世界に入って初めて学んだものであり、きもの研究家であった亡き父がこよなく愛した染めの1つだ。その一方で同じ石川県内で裏物産地で栄えた小松のことも思い出した。とにかく石川県は私にとって思い出深い土地であり私を育てくれた産地でもあるので、今日はビジネスの話から少しだけ離れることにする。

1、 加賀友禅の本当の魅力
刺繍、箔加工、摺など手描き友禅以外一切の飾りや加工をせず、加賀五彩といわれる五色を混ぜ合わせながら多彩で繊細な表現を醸し出す。

技法は図案→下絵→糸目置き→色挿し→蒸し→糊伏せ→地染め→蒸し→水洗と全部で9工程だ。京友禅はさまざまな行程を分業制で行うが、加賀友禅の場合は原則的に全て作家が行う。現在は蒸しや地染め、水洗などは別注にて行うことが多いが昔はほぼ1人でしたという。この技法は多くの人に知られている通り江戸中期(元禄期)に宮崎友禅斎が加賀藩に招かれ伝わったと言われている。

加賀友禅を語るとき多くの人はこの友禅の行程の凄さを語る。また多くの作家名がその価値を高めるために使われる。加賀友禅は「きものの絵画」と呼ばれるほど作家の芸術性が注目される。確かに絵画のように作家名で値段が付けられるほど重要な位置付けである。

私の亡父、きもの研究家であった石崎忠司は著書のなかでこう記している。
「加賀友禅の価値は構図にある。その元をたどればスケッチである。加賀友禅作家にとって第一段階であるスケッチの善し悪しで価値は決まる。であるからたとえ人間国宝木村雨山であっても由水十久であっても秀作もあれば駄作もあるのだ。それを見極め値をつけるのが産元商社の腕である」
我が父ながら大胆なことを堂々と本に書いたものである。


しかしそれは本当にそう思う。正確に言えば本当にそう思う体験をしたからだ。
私は初めてきものを見て泣く体験をした。私は感激屋でもなく涙もろくもない。しかし何故かこの作品を観て涙が出てきた。それはその当時石川県立美術館に展示してあった人間国宝木村雨山の「海」という作品だ。衣桁にかかったきものというキャンバスに無数の青色の濃淡を使った大きめの魚の群れが一斉に右から左へ流れているだけなのである。圧巻という言葉とはこういう気持ちの状態をいうのかと言うぐらいシンプルで美しい。しかもうるさいはずの大きな魚群はいくつもの青で暈かしながら描かれ、まるで水で作った魚の様に海と調和して流れているかのようだった。そこで改めて父の言葉を思い出した。
「加賀友禅の価値は構図にある。」

是非加賀友禅を見る時に、誰の作品であるか?の前にどんな構図か?を見て欲しい。そこに加賀友禅の本当の魅力が隠されている。

2、 小松の魔法使い
私には随分年上の友人がいる。生地メーカー吉田耕三郎商店の主。名前もそのままの吉田耕三郎。彼との出会いは京都のとあるメーカー。私は長襦袢のオリジナル開発をしていた時だった。それからのお付き合い。

彼は小松空港近くの安宅町の生まれだ。現在もその生家で会社を経営している。小松の安宅と言えば勧進帳の安宅の関。源頼朝に追われる身となった義経がその素性を安宅の関の役人見破られそうになった時に家来である弁慶がその場を逃れるために涙ながらに義経を激し、叩く名シーンの舞台である。

彼は小さい頃から典型的なガキ大将で、大人になるまで喧嘩に明け暮れたそうだ。その反面涙もろく、義理人情に厚く、世話焼きだ。そんな性格だから自然と人が集まる。だから彼の人脈は恐ろしいほど広い。小松市長をあいつ呼ばわりするくらいだ。そんな彼は高校を卒業し地元の大きな生地メーカーに就職し様々な和服地やテキスタイルなどのヒットの数々を生み出し、その会社は北陸を代表するメーカーまでになった。そして彼はその後独立した。

吉田耕三郎の作る生地は一言でいえば魔法だ。通常薄物の柄生地は設計上どうしても制約が多くなる。特に紋綸子地や紋羽二重などはその最たるものだ。しかも小松の機は大量生産時代のものなので広幅織機である。解り易くいうと着物巾二巾分で織り、カットするというもの。経糸を54mで整経して織り、現在の長襦袢の丈の規格が13.5mであるから経糸54mであれば4反分とれる。さらに二巾分であるから1回の仕掛けで8反とれるという仕組みだ。だから未だに小松の襦袢のロットは8の倍数が多い。

脱線したが広幅で織る薄物は小幅に比べ打ち込みに問題が出たり、引けといわれる裂け目が出易くなるなどの難物率が高くなる。ましてそこに紋(織り柄)を入れるとなるとその分バランスが崩れるため危険度は高まるのである。

しかし吉田はそんなことは当然解っていて無理難題を好んで引き受ける。そして紋直しから撚糸の回転数の微妙な調整、織機の調整、経糸の張力などすべてを駆使し指示しながら希望通りの生地を作ってしまう。私は今まで彼の口から「できません」とか「無理」などの言葉を聞いたことがない。そしてどんなに難題を投げかけても持ち前の明るさとバイタリティで最後には何の苦労もなかったかのように仕上げて来る。本当のプロだ。

そして彼の財産である無数の生地見本は必見だ。絹も合繊も出来る故、変化にとんだ見たこともないような生地が星の数ほど見本として存在する。
まさに、日本の薄物生地のマイスターである。もちろん和服地だけでなくネクタイやスカーフ、ショール等も織ることが可能だ。そんな日本のマイスターでさえ受注がなければタダのおじさんになってしまう。業界は宝の持ち腐れということになる。実に勿体ない話だ。

このブログを読んだ繊維関係、アパレル、呉服を問わず各糸へんに関わる方達は是非ともこの「吉田耕三郎」という名前を覚えておいて欲しい。
彼はまさに魔法使いである。
また彼とお酒が飲みたくなった。

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2010年2月27日 (土)

買える巾をつくる

きものにチャレンジしてみたい!興味があるんだけど高くて手が出ない!いつかは絹物が欲しいけど今は買える範囲で楽しみたい!呉服屋さんは高いものばかりで入るのが怖い!etc…
これらは京都織物卸商業組合の経営委員会が全国の10代から70代の男女約2000人強を対象にしたアンケートできものの購買に対して多かった意見だ。
同様に以前全日本きもの振興会が高校生を対象にきものについて調べた結果、なんと7割以上がきものを着たい、きものに関心があるとのことだ。これだけを見たらどれだけ将来に希望が持てることか。あとは我々呉服業界全体がどう応えるかである。しかもこれは小売だけでなく卸業も生産者も含めての話だ。
今日の私のテーマは「買える巾とは何か?」である。これは私の持論ではなく私が呉服業界で最も尊敬する(株)やまと矢嶋孝敏社長の考え方だ。大手チェーンの社長というときもの愛好家は嫌悪感を持つかもしれないが、矢嶋社長は最も消費者のことを考えている悪い言い方をすればクソマジメな方である。
21年前にそれまで白か紺が当たり前とされていた浴衣を普及すべく初めてカラー浴衣を出し浴衣人口を飛躍的に押し上げた。またバブル絶頂期にあえて買いやすい価格として他社が高い価格を付ける中、適正かつ低価格を提案して、きもの自体の敷居と間口を広げた現代呉服ビジネスの最大の功労者である。紹介はここまでにして、その矢嶋社長が提言する「買える巾をつくる」に私の持論と検証をリンクして紹介しようと思う。矢嶋社長には怒られるかもしれないが…

1、 買える巾の必要性
従来呉服業界はきものをよく知っている或は上お得意様のようなお客様を中心にした品揃えをしてきた傾向がある。大型チェーンにおいては売りやすいお客様に売りやすい商品を売ってきた。これは商業的には都合がよく収益も効率的であるため業界的には一般的だ。しかしこれは売る側都合の論理であってお客様都合ではない。

きものについての様々な調査を総合すると、きものが欲しいという人は全体の20%、きものは要らないという人も20%、残りの60%は関心はあるがどちらでもない、だそうだ。この60%を少しでも「欲しい」に引き寄せることがきものマーケットの拡大に繋がる。そのためにどうするか?がこの買える巾の商品構成と考えて頂いて良い。これからきものマーケットを拡大するには今までの「客単価主義」から「客数主義」への転換が絶対条件である。それでは売上や収益率が下がると小売や卸、メーカーは危惧するかもしれないが、客数主義はきもの新規客数を増やすことに直結し、それがきもの市場の裾野を広げる手段にもなるのである。もっと直接的にいえば将来の絹物購入客の絶対数を増やすことになる。

2、 買える商品構成
この仮説を検証すべく、最近専門店、チェーン店合わせて30店舗ほどを回ってMRを実施した。リサーチしたのはきものの価格構成だ。あくまでも集計した平均であるが5万未満が25%、5〜15万未満が10%、15万〜20万未満が35%、20万以上が30%であった。調査した30店舗のうち6割が専門店ということもあるかもしれないが、15万円以上の商品の割合が実に65%を占める。しかもこの価格はきもの単品価格でありしかもふりそで、留袖、喪服などの式服を除いている。これに帯や長襦袢、小物をコーディネイトしたらいくらになるのかは業界の人間なら想像はつく。客数主義の観点からいえば集客づくりときもの購入客づくりは現実的になかなかうまくいかない。

また非常に多かったのが店入口にポリエステルの反物または仕立上がりが置いてあるケースだ。確かに最近のポリ着物は素材が飛躍的に進歩し色柄も年代に応じて多彩だ。きものの入門として手軽に楽しむには適している。ただし販売として単品で1万円前後のポリ着物からいきなり15万の着物にはいけない。それこそ価格構成の超二極化となりお客様からしたら買える商品構成ではない。要はその隙間に入る商品が絶対的に少ないのである。お客様はどうせ買うならちょっとだけ背伸びしていいものをという気持ちは必ず持っている。その「ちょっとだけ背伸び」にあたる価格の商品を何にするのか?がポイントになる。

今人気が高まっている木綿きものでもいい。5万円前後のおしゃれでかわいいモノも沢山ある。逆に本格派志向であるなら、地織といわれる産地ブランドでもいい。特に片貝木綿は年代を問わず人気だ。久留米でも手軽なものはある。琉球がすりでも良い。何も木綿でなくても良い。その隙間に入る価格帯であれば絹物でもよい。大切なのはこれから着物にアプローチしようとしている消費者が安心して選択出来る商品構成が必要であり、それによって新規客が増えてその中から更なる高みを目指すお客様が増えていくのである。そしてこの買える商品構成のためには卸業や産地の協力は絶対に欠かせないのである。業界全体がこれらを意識するか否かでこれからのきもの市場は変わってくるのかもしれない。

3、 コーディネイトの巾を広げる
これはきものを着る上で最も楽しいことであり気を遣う部分でもある。しかしながら意外にこのコーディネイトの巾があまり広くない。例えば帯でいえばポリ着物用、絹物用として明確に分かれすぎている。消費者のコーディネイトの選択幅は残念ながら狭い。しかし、この頃街で多く見かけるようになった着物姿のコーディネイトは実におしゃれで、それぞれの個性と工夫がつまっている。

先日東京ミッドタウンでみかけた30代の男性は白のお召しに何とデニムの角帯、濃グレーの紬羽織に同じ色のハンチング、足袋は柄足袋に長めのウールかカシミアのマフラー。間違いなくスタイリストは自分自身だ。また、女性達も同様に銘仙に綿の可愛らしい半幅帯、おそらくリサイクルの羽織など素材に関わらず自由な発想のスタイリングだ。こういう人達が楽しめるスタイリング商品を素材や形式に捕われず品揃えすることできものファンもしくはそのお店のファンが確実に増えるのである。

お客様が価格の選択が自由に出来、その上で自分好みの組み合せを楽しむことが出来たらきっときものの魅力の虜になるだろう。そして我々はお客様がわからないことや迷うことに対してそっと手を差し伸べるような接客と販売が必要なのである。そして卸業、メーカー、生産者の方々も今までにプラスαした品揃えの協力を少ししてもらうだけで、着物をいつか着てみたいというお客様の夢を叶えられるのだ。

本日のまとめ
1、 買える巾の必要性
2、 買える商品構成
3、 コーディネイトの巾を広げる

矢嶋社長が提言する「買える巾」はもっともっと奥深い。なおかつこれを3年以上前からすでに実行している。だからこれはほんの一部なのだ。しかしながらこの考え方を持つことで確実に新規客数が増加することは確かだ。当然私はビジネスとしての観点で申し上げているが、その結果着物と出会うキッカケとなり、着物の楽しさを実感出来るのであればこれ以上のことはない。
今日は完全に受け売りとなったが、呉服業界にプラスになるなら幾らでもこれから受け売りしていこうと思う。もちろん持論と検証も加えてだが。

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2010年2月25日 (木)

小売業にとって最も重要で難関の店頭集客

店頭集客についてはリアル店舗を持つ小売業にとっては最も重要な課題である。ネット店舗においても集客はアクセス数という言葉に置き換えられるが、これまた重要である。特にネット店舗はアクセス数を獲得するために様々な手を尽くす。リアル店舗はどうであろうか?特に専門店はこれが一番のネックである。ただし、催事偏重型の営業はいつか終焉を迎える。催事では新規客増は出来ないからである。ならばどう考えていくかをいくつか述べたい。

1、 自店分析の必要性
医者は患者を診る場合、まずはその患者の体温、血圧、心音、脈拍、アレルギー、etc…様々な角度から基礎データをとる。そしてその患者に一番あった治療法を考える。企業の経営コンサルティングも同様である。それと同じように小売店は自店分析をすることから始めることが重要である。的外れな改善策は結果に結びつかないどころか無駄なコストを要する。では何を分析すべきか?
① 売上分析→12ヶ月毎の各売上構成比、曜日毎の売上構成比、客単価、
       一品単価、客当り点数、きもの購入客数、小物購入客数
② 客層分析→年代別構成比、時間帯別年代別構成比、年代別粗利益率

③ 商品分析→品種別売上構成比(金額、点数)、コーディネイト率(帯、長襦袢
       羽織・コートなど)
最低限このくらいは必要だ。もっと欲を言えば入店経路分析というどこから入店したか?または何がキッカケで入店したか?などがあると店頭の陳列に役立つ。確かに上記のようなデータを収集するのはかなり大変という印象があるかもしれないが、今の時代誰でもPCは持っている。フォーマットさえ作ってしまえば比較的簡単だ。「誰に」「何が」「どのくらい」を基本に考えればいい。要は売れる売れないを嘆く前に自店の特徴を細部にわたって知る事が集客戦略の第一歩なのである。

2、 商品陳列
商品陳列は店頭集客する上で最も重要な要素である。陳列の大原則はレイアウト(構図)、プレイシング(配置)、プレゼンテーション(演出)だ。これらは全てに通じる基礎である。ただキレイにおいてもお客様には分からない。自店分析からどの位置に何を置き、どう見せるかをしっかりとストーリー立てすることが望ましい。特に集客においては店で売上構成比の高いものをお客様が店先からよく見えるように置くことが大前提である。もちろん客層によって違うだろうし、四季によっても違ってくる。要はお客様が入店するキッカケとなるものを分析結果からピックアップし、わかり易く配置する事が重要である。そしてきものを陳列する場合は一番売れているもの順に店先から店中、店奥と配置する。その商品とスペースの割合は各店の拘りと特徴を出す事でお客様により訴求しやすい。そして大切なのはそれぞれがきものから帯、小物に至るまでコーディネイトされている事。特に専門店はきものそのもの、帯そのものといった逸品演出をしている場合が多いが、お客様からするとイメージし難い。どう着て欲しいか?いいなあと憧れを持てるような見せ方などを意識しなければ素通りされるだけである。陳列は2次元ではなく3次元を意識した見せ方をするべきである。それによって集客及び店内滞在時間が伸びるのである。

3、 地域社会との連動と利用
大手チェーンにはできない専門店独特の集客方法が地域利用である。各商店街に属しているのならば、自店分析からその客層が利用する和装と連動出来そうな業種の店と提携する事も1つの集客戦略である。例えば、美容室。特に振袖などは効果が得られるのと同時に客層の幅が広いのが特徴である。手段としてはパンフレットを置かせてもらう、お互いに集客メリットがあるように紹介割引の提携や成人式の着付けの斡旋などが考えられる。同様に写真館なども有効である。そして最も効果的なのが個人の着付教室である。大手着付教室は卸業とタイアップしているケースが多いのでなかなか入り込めないが、個人は別である。また着付教師との信頼関係が強いので紹介となれば有効な顧客となりやすい。逆に呉服店側はお客様の着付習得の要望があった場合に紹介することでお互いにWin-Winの関係が作れる。他にも色々とあるかもしれないが、地域社会との連動と利用は専門店にとってはかなり有効な集客強化につながることは間違いない。

4、 IT活用によるPR
今日のITによるコミュニケーションサイトやポータルサイトは恐ろしいほど効果的であるのはいうまでもない。各店のHP設置は当たり前のことであり消費者の信頼のバロメーターである。また自店のHPをその地域のポータルサイトや和装関連のサイトにリンクを貼付けることも有効な広告である。リアル店舗の経営者はその利用価値をまだ理解していない場合が多いので、これに関してはネット店舗から多いに学ぶべき点である。そして今は何といってもツイッターである。この威力は計り知れない。呟きを見たい相手をフォローしたり、または積極的に自分が呟くことでフォローされたりと無限のごとく繋がっていく。ツイッターの日本国内利用者数は12月時点で350万人を超えるなど飛躍的に増加している。また利用者年齢は40代が29%と一番多く、続いて30代の27%、20代の22%と呉服の客層に非常に近い。また、実際にツイッターを利用していると予想以上にきものファンが多いことにも驚かされる。これを有効利用することでHPやネットサイトへのアクセスを促す大きな効果もある。あるネットショップはツイッターを始めてからアクセス数が10倍に伸びたという。これらに関しては従来広告宣伝費として掛かっていたコストなどの販管費を大幅に削減しながら、効果あげる手段として大きなメリットがある。
大手や専門店、ネットショップの業態に関わらずITの活用は集客や新規客増対策として絶対に不可欠である。

本日のまとめ
1、 自店分析の必要性
2、 商品陳列
3、 地域社会との連動と利用
4、 IT活用によるPR

今自分の店が集客に対して、または新規客増に対してどこまで取り組もうとしているのか?そのために何をしているのか?どのレベルまで掘り下げているのか?など改めて考えると様々な方法や手段があることを認識すべきである。それが業績の向上にもつながり、店の存続にも必ず繋がる。古いビジネスモデルはとっくに終わっている。集客出来ないから、単価がとれず収益率が悪いから穴埋めを催事でカバーしようという今までのスタイルはもう通用しないどころか店の寿命をさらに縮めることになることを認識したい。

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2010年きもの人財教育元年

きもの業界ほど「人材」を「人財」と考えなければいけない業種はないのではと思っている。厳しい市場の中で懸命に働く事で業界を護っている。
戦後のきもの業界は生き残るための手段として「フォーマルとしてのきもの」をビジネスモデルとして構築した。これは決して間違いではなく高度成長によって国民全体の所得が上がっていくなかで、日本独特のしきたりや儀式などからくる格調や品格などが再度見直されていくことからフォーマルきものというキーワードは間違いなく受け入れられた。これは当時の正しいマーケティング戦略である。「誰に」「何を」「どのように」がすべて当てはまっていた。まさに消費の変化への対応だ。しかしそれが今の今まで続いてしまった。バブル景気、過量販売などの甘い汁が存在し、変わる事が出来なかった。そして気がつくと売上もビジネス構造も壊れはて、次に繋ぐ人財が育ってないことに今気づいたのである。
1、呉服業界は人財教育こそ業績回復のカギと認識すべき
高度成長期におけるビジネスモデルを構築した先人達は今徐々に引退、または勇退をしつつある。今までの呉服業界を支えてきた功労者達だ。しかし、これから新しいビジネスモデルを構築するための人財が育てられていない。そもそも育てる場がないのだ。業界団体としては「日本きもの学会」と「全日本きもの振興会」がきもの教育の推進を行っている。内容としては各方面の専門家が講師を務める「きもの学」というカリキュラム。そしてきものの知識や文化を深める「きもの文化検定」。これらには全国のきものファンや学生がこぞって参加した。業界の各業種の人達も同じくだ。しかしきものというものの文化や知識を深めるには非常に良い機会である事は間違いないが、ビジネスとしてのきもの業界を学ぶにはあまりに足りない。きもの学の中でビジネスとして学べるものは約15科目ある中の1つか2つ。決してきもの学自体を批判する訳ではないが、本当の人財育成にはならない。
先人達が引退していくなかで次世代のビジネスモデルを生み出す人財教育は今年である2010年を元年とし、この10年間で多くの有望な人財を呉服業界に送り込む必要があると強く考える。

2、きもの学院や専門学校は就職率以上に定着率を目指せ。
世の中は不況によって失業者があぶれ、学生の就職活動は困難を極めている。まさに茨の道だ。ところが、意外にも呉服業界の就職率はその中では良い部類に入る。着付けが出来る、和裁士3〜4級の資格をもっている。きものコンサルタントの資格を持っている、など技能を持っていると小売や和裁関連、卸業などは歓迎してくれるのである。そしてもう1つの理由。「定着率の低さ」である。毎年きものが大好きできものを勉強したり、着付けを習得したり、和裁を習得したりした人達が小売や卸に入社して来る。その人達にとっては大好きなものに囲まれて幸せのはずが、商売という現実に遭遇する。小売で言えば売上目標、催事動員、場合によっては持ち回り。卸業は取引先営業、催事販売支援などなど。企業にとっては当たり前であるが、新入社員にとっては大好きなきもの、習得した着付や和裁に利潤追求組織の定説はすぐに結びつけられない。
もっと単純にいえば「大好きなきものを商材として見れない」のである。そして自分の目的と企業の目的とが一致しなくなる。これが低定着率の最大の要因である。
ツイッターで知り合ったきものを学ぶ学生は「就活中の生徒は自分に着物業界の知識がないことにとても焦りを感じています。自分が今後着物業界にどんな流れを期待しているのか…どんな勉強をすればいいのか、そういったことを教えていただきたいと思っている」とつぶやいた。
全国に多数あるきもの学院またはきもの専門学校の中で、業界への就職を目指すカリキュラムの中に「きものビジネス」や「マーケティング」が入っている学校は私の知る限り2校しか見当たらない。そのほとんどが着付けや和裁、きもの制作などの技能なのである。一方でアパレル関連の学校はそのほとんどにファッションビジネス論やマーケティング、VMDや生産管理、販売ロールプレイイングなどの社会に出てそのまま使えることをキチンと教えている。同じファッション教育でもここまで呉服とアパレルの教育に差があるのが現状だ。学校や学院、または高校などの服飾科などはきちんとしたきものビジネスやマーケティングを教育するカリキュラムを組み、就職率以上に定着率を目指すことで学校のロイヤルティを上げるべきである。

3、学生は呉服ビジネスと技能という2つの武器で次世代ビジネスの構築を!
今きものを学んでいる学生は着付、和裁、きものデザインなどの技能習得を全力で身につけることがまずは重要であり、学校にビジネスの科目がないのであれば、様々な情報収集をするべきである。各関連企業のHP、上場企業であればIR情報といった市場動向と会社業績を知る事が出来る。生の声を聞きたいならツイッターという場でその業界の人と140字のやりとりをすればいい。またはそういうブログを閲覧したりすることである程度の情報が得られる。その時に大切な事は考え方を偏らせないことだ。様々な意見をまとめた上での観点を持つ事が重要で、今の段階からこうでなくてはいけないと思い込まない事だ。
そして最も期待する事は、着付けができるなら新しい着方の可能性や和裁なら新しい縫製の可能性、デザインならこれからのきものというプロダクトのあり方などを市場分析や流通構造を深く理解する事で次世代型ビジネスモデルを構築できるはずである。それは誰もが出来る可能性があると断言出来る。だからこそ今学んでいる技能と呉服ビジネスやマーケティングという2つの武器を兼ね備えて欲しい。

本日のまとめ
1、 呉服業界は人財教育こそ業績回復のカギと認識すべき
2、 きもの学院や専門学校は就職率以上に定着率を目指せ
3、 学生は呉服ビジネスと技能という2つの武器で次世代ビジネスの構築を

フィンランドにおける税収改善のための国策は教育改革だった。教育のレベルアップは、労働意識の高まりを生み、企業の業績が上がる事で税収が増えるという長期計画であった。誰もが最初はあざ笑ったが見事税収は改善しつつありしかもフィンランドの教育レベルは世界トップクラスだ。
大不況による呉服市場の落ち込みは待った無しと言う方が大半だとは思うが、だからこそ各企業、団体、学校は次世代の人財の教育に力を入れ、夢の持てる呉服業界を作って欲しい。また私自身はそれをライフワークとし全力を注いでいきたいと強く思う。

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2010年2月23日 (火)

呉服業界に降り掛かる変化

呉服業界の流通構造を生産者からはじまって「川上、川中、川下」と比喩表現する。川中は卸業、川下は小売を意味する。上流から河口に向かい、消費者のいる大海へと水は流れていく。

ところが、呉服市場規模のピークといわれる1993年からどんどん縮小し、一時期1兆3000億円といわれた売上は2008年度は3分の1強の4033億円まで減少した。2009年度予測は更に25%近く減少し3210億円といわれている。

大海であったきもの消費者はやがて湖になり、さらに沼になり、今は池へ向かっている。受け皿が小さくなれば当然水は溢れ洪水を起こす。川中と川上は洪水状態。ならばそれを食い止めるべく川上の水の流れを塞き止めなければいけなくなる。川上は致し方なく水源に蓋をする。これが今の呉服業界だ。
1、消費の変化
こうなったのは様々な要因がある。当然大要因は第一に消費の変化だ。本来呉服は不況に強い産業であった。オイルショック、バブル崩壊など数々の不況の中でも然程の影響を受ける事はなかった。その理由に呉服は高級的嗜好品でありコアなマーケットで成立していた商品であり、比較的富裕層の固定ユーザーがリピートする商材である。当然振袖やゆかたといった不特定多数の売上もあるが、基本的な顧客構造を占めるのはリピーターなどのヘビーユーザーである。
ところが、今回のリーマンショックによる世界同時不況は、呉服の絶対的安定ユーザーであったこの富裕層へ大打撃を与え、全ての層が消費を抑えた。これは市場に止めを刺すくらいのダメージを与えている。またインターネットネットによるきもの市場が急速に増えつつあり市場規模は約500億円と言われているが、それぞれに差別化された商材で消費者の選択肢が広がり新しいビジネスモデルとして成長過程にあるものの業界全体の停滞化した流れを動かすまでには至っていない。今のままの状況が続くのであれば、かつて大海であった受け皿は池どころか水たまりになる勢いだ。この消費の変化に今後どう対応するかが川下である小売業の大命題であり、早急に取りかかるべき課題である。
2、取引条件の変化
2つ目の要因は、取引条件の変化である。本来正常な取引は作ったものを買い取る事にあるが、大きなリスクが付きまとう。ましてや呉服といった高単価商材は在庫回転率は通常の小売業よりも非常に低い。当然売上の低迷によって小売業者の滞留在庫は増加する。結果仕入れが困難になり委託条件にせざるを得ない。これが川上まで連鎖し最終的に商品の流れ全体が停止してしまうのである。委託比率が買取を上回っている状態である事は、結果的に生産機会を失うだけでなく、呉服全体の流通が機能しなくなる。今後、長期の借り入れと長期の手形に関しては公正取引委員会で様々な見直し案を検討するようだが、いずれにしても自分勝手なリスク回避はいずれ自分に跳ねかえって来る事だけは現実的に間違いない。早急の取引条件の見直しが必要である。
3、信用の変化
3つ目は消費者の信用である。平成18年8月末のたけうちグループの破綻で大きく取り上げられた過量販売などの秩序なき手法は、呉服販売の代名詞ともいえる悪しきイメージを世間に植え付けた事は間違いない事で、その後呉服やリフォームなどの販売会のクレジット申し込みは必ず翌日の契約確認とするなどクレジット会社の自主規制や高齢者販売の規制強化など割販法改正につながった。それによって高齢者中心に販売してきた呉服店は一気に業績を落とし、閉店または廃業などが現在も続いている。また、それらに依存する形で共生してきた問屋、メーカーなどが相次いで倒産、当然川上業者も共倒れするほどの連鎖倒産も引き起こした。大手きものチェーンは一斉にコンプライアンスを強化し、催事動員時から催事販売まで自主行動基準を設け積極的に転換を図っているが、まだまだ意識が低いところも多く、以前のような問題が未だ発生する状況である。これに関しては小売経営者のモラルが試される。いずれにせよ水の流れを再び戻し消費者大海を目指すためにもまずは呉服業界の信用を取り戻した上で、商品、価格、販売を見直し、催事型から店頭型への改革、単価主義から客数主義への企業努力が早急に求められている。

1、 消費の変化
2、 取引条件の変化
3、 信用の変化

以上代表的な3つの変化を述べたが、本来業界のどの形態であっても常にアンテナを張り様々な変化に対応したビジネスをしていかなければ淘汰されていくのは必然である。これからさらに様々な変化が予想されるが、我々呉服業界に関わるすべての人達は変化に敏感になり、対応していくための危機管理という緊張感が絶対に欠かせない。

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