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2010年2月23日 (火)

呉服業界に降り掛かる変化

呉服業界の流通構造を生産者からはじまって「川上、川中、川下」と比喩表現する。川中は卸業、川下は小売を意味する。上流から河口に向かい、消費者のいる大海へと水は流れていく。

ところが、呉服市場規模のピークといわれる1993年からどんどん縮小し、一時期1兆3000億円といわれた売上は2008年度は3分の1強の4033億円まで減少した。2009年度予測は更に25%近く減少し3210億円といわれている。

大海であったきもの消費者はやがて湖になり、さらに沼になり、今は池へ向かっている。受け皿が小さくなれば当然水は溢れ洪水を起こす。川中と川上は洪水状態。ならばそれを食い止めるべく川上の水の流れを塞き止めなければいけなくなる。川上は致し方なく水源に蓋をする。これが今の呉服業界だ。
1、消費の変化
こうなったのは様々な要因がある。当然大要因は第一に消費の変化だ。本来呉服は不況に強い産業であった。オイルショック、バブル崩壊など数々の不況の中でも然程の影響を受ける事はなかった。その理由に呉服は高級的嗜好品でありコアなマーケットで成立していた商品であり、比較的富裕層の固定ユーザーがリピートする商材である。当然振袖やゆかたといった不特定多数の売上もあるが、基本的な顧客構造を占めるのはリピーターなどのヘビーユーザーである。
ところが、今回のリーマンショックによる世界同時不況は、呉服の絶対的安定ユーザーであったこの富裕層へ大打撃を与え、全ての層が消費を抑えた。これは市場に止めを刺すくらいのダメージを与えている。またインターネットネットによるきもの市場が急速に増えつつあり市場規模は約500億円と言われているが、それぞれに差別化された商材で消費者の選択肢が広がり新しいビジネスモデルとして成長過程にあるものの業界全体の停滞化した流れを動かすまでには至っていない。今のままの状況が続くのであれば、かつて大海であった受け皿は池どころか水たまりになる勢いだ。この消費の変化に今後どう対応するかが川下である小売業の大命題であり、早急に取りかかるべき課題である。
2、取引条件の変化
2つ目の要因は、取引条件の変化である。本来正常な取引は作ったものを買い取る事にあるが、大きなリスクが付きまとう。ましてや呉服といった高単価商材は在庫回転率は通常の小売業よりも非常に低い。当然売上の低迷によって小売業者の滞留在庫は増加する。結果仕入れが困難になり委託条件にせざるを得ない。これが川上まで連鎖し最終的に商品の流れ全体が停止してしまうのである。委託比率が買取を上回っている状態である事は、結果的に生産機会を失うだけでなく、呉服全体の流通が機能しなくなる。今後、長期の借り入れと長期の手形に関しては公正取引委員会で様々な見直し案を検討するようだが、いずれにしても自分勝手なリスク回避はいずれ自分に跳ねかえって来る事だけは現実的に間違いない。早急の取引条件の見直しが必要である。
3、信用の変化
3つ目は消費者の信用である。平成18年8月末のたけうちグループの破綻で大きく取り上げられた過量販売などの秩序なき手法は、呉服販売の代名詞ともいえる悪しきイメージを世間に植え付けた事は間違いない事で、その後呉服やリフォームなどの販売会のクレジット申し込みは必ず翌日の契約確認とするなどクレジット会社の自主規制や高齢者販売の規制強化など割販法改正につながった。それによって高齢者中心に販売してきた呉服店は一気に業績を落とし、閉店または廃業などが現在も続いている。また、それらに依存する形で共生してきた問屋、メーカーなどが相次いで倒産、当然川上業者も共倒れするほどの連鎖倒産も引き起こした。大手きものチェーンは一斉にコンプライアンスを強化し、催事動員時から催事販売まで自主行動基準を設け積極的に転換を図っているが、まだまだ意識が低いところも多く、以前のような問題が未だ発生する状況である。これに関しては小売経営者のモラルが試される。いずれにせよ水の流れを再び戻し消費者大海を目指すためにもまずは呉服業界の信用を取り戻した上で、商品、価格、販売を見直し、催事型から店頭型への改革、単価主義から客数主義への企業努力が早急に求められている。

1、 消費の変化
2、 取引条件の変化
3、 信用の変化

以上代表的な3つの変化を述べたが、本来業界のどの形態であっても常にアンテナを張り様々な変化に対応したビジネスをしていかなければ淘汰されていくのは必然である。これからさらに様々な変化が予想されるが、我々呉服業界に関わるすべての人達は変化に敏感になり、対応していくための危機管理という緊張感が絶対に欠かせない。

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twitterですと、文字制限もありますからブログですと筋道経って、色々なお話が聞けるので楽しみにしています。業界に携わる小売業の一員として、耳を傾け考えて、行動していきたいと思います。

投稿: kinutaya | 2010年2月25日 (木) 00時35分

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