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2010年3月25日 (木)

在庫管理を見直そう!

3月に本決算を迎える企業は多い。本決算月は各企業によって様々で、会社を登記した月に関連している場合が多いが、経営計画等の策定という観点から年度末に本決算を設定する場合も多い。いずれにせよ、経営者や経理担当者はバタバタと慌ただしく、とくに株式会社の経営陣は株主総会までは気を抜けないことであろう。

さて、決算で収支計算する場合必ず必要で重要になるのが「棚卸資産」である。いわゆる「在庫高」だ。棚卸資産は流動資産の一部であり利益を生み出す可能性のある資産である。その評価の仕方はその企業の経営上最適な方法を使うが、いずれも事前に税務署に申告してある法人税法に定められた会計基準をもとに算出する。そうすることで営業利益を出す為の売上原価を算出できるのだ。

別に私は税理士ではないのでここで会計について語るわけではなく、簡単に言えば「在庫管理」の大切さを今一度考えなくてはいけないと思った訳だ。

呉服業界は残念ながら在庫管理システムの有効なIT化が普及しておらず、PCを使用しているとしても恐らく「Access」やエクセルを使用した管理か手書きの帳簿の場合が未だ多い。そこそこのチェーン店や大手前売問屋などはPOSシステムによる総合的な情報管理を導入しているところは多いが、それでもごく一部である。

決算は特に商品の出し入れが大変だ。しかも最近は委託中心であるため下手をすると店頭商品が品薄になる。それを防ぐ方法として、委託伝票の切り替えということをする。初期借り入れ数から売上数を引き、残ったものを伝票上で返却したことにし、その残った分だけ新たに伝票をおこして借り入れを発生させるという仕組みだ。しかしこれはキチンとデータを追っていかないと員数誤差が発生する。すべての帳簿データと実在庫を照らし合わせないと後でどちらかが損をしてしまう。

またもっと始末に悪いのは、条件付き仕入れの返品だ。これは非常に危険である。どういうものかというと、「条件付き」とは「返品条件付き」ということである。大体これは長期借り入れか取引先の資金的な理由による要望によってだが、一度すべて買取る形にして、予め決めていた期日に返品するというものである。これに関しては一度現金にしろ手形にしろ決済されているものなので、返品時には取引先から返金してもらう形になる。これもキチンと在庫管理をして返すべきものを一度に返さないと、あとで出てきた時に大変だ。そしてなにより売上が悪くこの返品量が多いと取引先が資金ショートする恐れがあるといった危険な取引である。

いずれにせよ、呉服業界に限らずだが在庫管理は大切である。
大切なのは日々の入出庫のチェックと売上のチェックだ。いつ入って、いつでていったのか?そのうちいくつ売れたのか?単純ではあるが、これをキチンとチェックする必要がある。SKU管理が当たり前ではあるが、できれば原価率や値入れ率、値引き率、売上、返品、滞留日数などを計数計算できるソフトに落とし込み少なくとも週別で売上、在庫、粗利益高などをチェックする必要がある。そして単品別で異常が発見出来ることで、毎月、半期、本決算での誤差が少なくて済む。だからこそ在庫管理システムの整備は多少のコストを掛けてでも実施すべきだ。

また員数誤差を少なくするポイントとして将来的にはSCM導入が望ましい。特に大型スーパーなどでは当たり前になっているが、取引先とのサプライチェーンの整備だ。これだけIT環境が社会的に整備されてきているのであれば、取引間のSCMを実施することでより正確な在庫管理や生産管理が可能になり、物流コストの圧縮にもつながる。現状の呉服業界では理想論になりがちだが、すでに企業間の物流のインフラ整備は出来つつあり、その簡単な仕組みだけでも採用することでコスト面での大きな効果を生み出す。一部の経営者はこれだけ縮小した市場でのSCM導入は返ってコスト倒れに繋がるという意見もあるが、いままでの丼勘定、伝票処理の不正確さ、積載率の低いトラック使用、作業用のアルバイト人件費などを考えれば十分経費対効果は高いと感じる。

どちらにしても、在庫管理の基本はまず「商品を触る、把握する、そばに置く」である。これはかつて私が経験の浅いバイヤー時代に在庫で大きな失敗をした時に私を厳しく指導し育ててくれた大先輩の口癖である。人に任せず、自分の管理する商品は、入出庫に常に立ち会い、商品をSKU毎に分け、入庫したら触って検品をし、データと実在庫と売上の把握をし、毎日、そしていつでもそれを出来るように商品をそばに置く。こんな当たり前のことを繰り返していると何千、何百単品数があろうと異常に誰よりも早く気付くことが出来ると何度も何度も言われ続けた。あの時は本当に辛かったが、不思議なもので気がつくとほとんどの在庫が頭の中に入っている。そしていつのまにか不良な5年分の滞留在庫がたった1年で収束できてしまった。

在庫管理は会社の利益を捻出する最も大切な仕事の1つである。そして様々なやり方やシステムが存在する。出来るだけ誤差を出さず正確に管理するにはITの活用が不可欠だ。それによって物流コストの見直しも人件費コストの見直しも可能であり、それによってコスト圧縮されることで捻出される粗利益額は売上を何割かアップさせるよりも効果は高くなる。そういった企業全体の考え方に加え、それを運用する人材の在庫管理スキルを上げるべきである。

私はかつて在庫管理では劣等生であったが、その先輩の教育により在庫管理のスキルが大きくついた。呉服業界は是非とも在庫管理をもう一度見直して、効率的な収益率の向上も注力してはいかがだろうか。
この複雑な流通構造という川の流れをスムーズにする手段は、絶対的な売上高と共に川上から川下までの在庫回転率の向上でもある。それはすべて在庫管理から始まる。

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