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2010年3月10日 (水)

あなたは「何屋さん」ですか?

独立するとしばらくは色々な方から「今何してるの?」と聞かれる。特に呉服関係なら尚更のこと。メインはきものビジネスコンサルタントだが、お陰さまでこの業界で長く育ててもらっているので、糸商から小売まである程度の人脈もあるため、時には依頼されたときのみ小口の商品仲介もすることもある。いってみればきものに関わる全般のことを仕事に出来る。だが、メインの仕事はコンサルティングである。その中でも得意技は小売業と卸業の営業戦略と商品戦略だ。

呉服業界でもこの「何屋なのか?」が重要だ。何故なら複雑な流通構造の中で取引先選定の際にそれが大きな基準になってくる。
メーカーや買い継問屋といったカテゴリーは解りやすい。例えば、京友禅ならどこどこがいい。絞りならどこどこ、黒共帯なら、唐織ならとそれぞれのメーカーには得意技があり、仕入担当者は非常に解りやすい。商品カテゴリーだけでなく、柄の善し悪し、色の善し悪しなどもそのメーカーや買い継の特徴があり、その特徴を基準にして品揃えをしていた。

逆に今わからなくなってきているのが前売問屋である。ひと昔前は前売問屋でも明確な特徴があった。例えば、紬などの産地織物の上等品をさがすなら市原亀之助商店と相場が決まっていた。その他友禅ならどこ、絞りならどこ、帯ならどこなどやはり得意分野があった。だから昔は小売の仕入れ担当のいく問屋でその店の売り出しの目玉がわかったくらいだ。

今の前売問屋はどうか?私がバイヤーだったら非常に悩む。もし染着尺を担当していたらどこへ行くだろう。振袖だったら?訪問着などの絵羽物担当だったら?非常に悩む。そうなると基準は商品コストが一番安いところ、催事で人を出してくれるところ、こちらの意向をほとんど受け入れてくれそうなところが優先順位の上位に来るだろう。

なぜそうなったのか?それは小売が催事中心にシフトし、「企画商品」という問屋にとって非常に効率の良いものが出現したからだ。昔の催事は各種類のフリーの商品が中心で、それにプラスして1つか2つくらいの企画商品があり、その企画の担当者が商品紹介していた。今の総合催事は見渡す限り企画商品だらけだ。企画毎にアドバイザーと先生と呼ばれるその作家らしき人がいる。会場はそういう人達で溢れ返っている。それが悪いという訳ではないが、そうしなければ売れなくなってしまった小売店も悲しい。
結局この企画商品の供給もとで前売問屋を判断している状況だ。

これから前売問屋の存在価値を高めていくためには、明確な企業ブランディングが必要だ。例えば圧倒的に専門店の店頭営業に強く、様々なアイディアやノウハウを持っており、商品構成も店頭で売れるプライスラインを意識して幅広く兼ね備えている。集客ノウハウも持っており、店頭営業強化といったらこの問屋だという認知度も高い。こういった問屋としての差別化、そして経営者も営業担当者も企業イメージも一貫したものであることが、これから求められる前売問屋だと考える。

逆でも良い。徹底的に催事にこだわり、そのノウハウと協力体制は群を抜いているといった差別化を図ること。それによる企業イメージの確立と徹底は将来性うんぬんは別としても、これも企業ブランディング的な考え方であろう。

いま、催事さえも厳しくなってきた小売業は、新しいものに飢えている。私のかつての同僚である大手チェーンの現バイヤーも、「展示会に行ってもあんまり意味が無くなってしまった。どこも同じだから」という。

最も今求められているのは「新しいもの」と「得意技による差別化」である。
小売のバイヤーはまさに「あなたの会社は何屋なんですか?」と問いかけているのだ。そしてお客様も同様に。

もう一度、各呉服関連企業は見直してみてほしい。自分は何屋かを。そして出てきた答えをいかに徹底させ、浸透させていくかである。そうすれば必ず次のビジネスが見えてくるはずだ。

ところであなたは何屋さんですか?

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