« 甦らせるぞ!竹筬(たけおさ) | トップページ | 新しいものへの挑戦 »

2010年3月 6日 (土)

呉服卸業が目指す今後を考える

今日、電撃的なニュースが飛び込んできた。「一竹工房 民事再生法申請」初代久保田一竹氏が桃山時代に一世を風靡した辻が花染めを独自の世界観で表現し、その芸術性は世界の美術界からも賞賛を浴びた。その後メーカーとしての一竹工房は山中湖に一竹美術館を展開し「一竹辻が花」を確固たるものにした。
メーカーとしてだけでなく美術館経営など多岐にわたった活動であったが経営の存続を危ぶまれている。

そもそもメーカーとは?問屋とは?そして今後どう進化していくのかを今日のテーマとしたい。

1、 メーカーとは?そして今後は?
「メーカーがモノを作っていない」
これは京都を訪れた業者が最近口々にする言葉だ。そもそもメーカーとはその言葉通り「モノを作る人」である。業界用語では「染め潰し屋」等とも言われている。また商品企画会社でもある。様々なコンセプトから商品をつくり、または集め、販路の広い問屋へと卸していく。これが本来のメーカーの商いの流れだ。もちろん小売業者への直接取引の場合もある。

そのメーカーがモノを作っていないとなると今の世の中には新しい商品が存在していないということになる。もちろん全部がそうではないが、どちらにしてもそれに近い状況である。これは当然のごとく呉服売上が年々減り続け、世界同時不況で更に下降スピードを増したことが大きな原因であることは解りきったことであるが、ならば今後どうしていくのか?を既にメーカーは始めている。

それは着物ショップ、すなわち小売への参入である。様々な形があり、ここでは企業名は出さないが、メーカー単独型と協業型に分かれる。メーカー単独型はその企業の特色を活かした品揃えが魅力だが実店舗運営となるとリスク面で非常に大きいため、現実的にはネットショップとしての小売参入の形が多い。そして今積極的に取り組まれているのが協業型である。これに関しては2つのパターンがある。1つは小売業との協業である。小売業のメリットとしては自社の売上幅の拡大が図れる他、仕入れコストの軽減や鮮度の高い商品構成の維持などでストアロイヤルティの向上などが出来、小売店の大きな課題の1つである集客対策としても効果的である。メーカー側としては、利益配分はあるもののダイレクトでの売上によって収益率が向上することや小売店の販売ノウハウをそのまま利用出来る点にある。また店の運営コストについても双方にとってメリットがあるため、今急速に増えつつある。

もう1つのパターンは、各産地との協業による小売参入である。例えば、染めメーカーと帯メーカーとの協業、各産地ブランドメーカーとの協業による差別化されたオリジナル商品開発によるショップの出店等様々な業種、カテゴリー、産地ブランドなどの協業チームが組まれている。もちろん実店舗だけではなくネットショップも同じくである。

ただし、ここでの問題点は営業力である。小売業の販売力は長年の経験の蓄積から出来たスキルである。どんなに良い商品でどんなに適正な価格でも、その見せ方、売り方、顧客管理の仕方等は一朝一夕では難しい。現に私は大手小売業で20年の経験があるが、メーカー協業型小売店でこれなら売れると確信出来る店は数えるほどだ。そういう店舗は全ての商品条件が揃っているなら営業ノウハウに関しては、多少のコストを掛けてでも専門のコンサルティングを受けるべきである。アパレルの業態転換時のコンサルティング導入は当たり前の世界である。こう書くと自分の職業上宣伝をしているようだが、そういう意識を抜きに考えても継続し収益率を上げるためにもそうするべきだと強く言いたい。

どちらにせよ、今後もメーカーは生き残りをかけて、あるいは「新創業」と言うような観点から多種多様な形態で小売市場へ参入をしてくると思うが、くれぐれもそれが仇となるようなことがないよう、しっかりとしたマーケティングと経営計画をたてて強い体質づくりと企業存続を図って欲しいと願う。

2、 問屋という業態のこれからの可能性。
問屋の本来の機能は、豊富な販路を持っていることを利用したディストリビューターとしての機能である。これは流通上の円滑な流れを維持し、川下業者の売上貢献と川上業者の安定した操業につながる大切な役目でもある。ただし今はやはりメーカーと同様、呉服売上の超大幅減少によって仕入れを縮小せざるを得なく、資金面から致し方なく委託条件での取引が多くなってしまった。これに関しては内情と現状を深く知る者としては責められない。

では問屋という業態がどうしていくかということであるが、現在の動きとしては数社協業による小売店への催事支援などがある。それぞれのもつ企画商品やフリー品等を催事商品として構成し、アドバイザーなども共有しながら、小売店への販促支援を行うというものだ。これは現在の流れの発展系であり、今のうちは非常に効率の良い協業の仕方である。

ただし私の考えは、はじめに催事ありきの観点は変えていかないと、絶対に持続しない。ただでさえ顧客は枯渇している状態で、大手小売でさえ集客と買い上率に苦しんでいる催事は絶対に長続きしない。催事ありきの観点は乱暴な表現をすれば、麻薬の乱用である。
私が常日頃から言っているのは「問屋の力は無限大である」ということだ。
問屋のポテンシャルはすごい。圧倒的な販路の数を持ち、圧倒的な商品在庫をもち、圧倒的な販促力を持っている。それらの圧倒的資源を今催事中心に使用しているだけだから非常に勿体ないと感じるのである。

私はきものビジネスコンサルタントをしているが、もしこの問屋並みの資源を持っていたとしたら、絶対に店頭中心に使用し、販路である小売店への全面的な新規売上客数向上のためにその資源を使うだろう。それだけの力と物量をもっているのである。要は問屋が小売店のコンサルタントをすればいいのである。当然今までの流れから言えばそれは商慣習上、出来難いかもしれない。ただ、今の小売は藁をも掴む状態だ。売上も厳しい、新しい商品も仕入れは出来ない。出張経費もままならない。そういう状況であるからこそ問屋の力は大きいのである。

3、ラック&ジョバー方式でWin—Winの関係をつくれ!
勝手だが私ならこうする。
取引先小売店の店頭のワンスペースを年間で担当させてもらい、徹底的にその店の総合的な分析をし、月毎あるいはシーズン毎で販促計画を策定し、その都度テーマを決め適正な商品構成とプレゼンテーションやプロモーションを行っていく。簡単に言えばラック&ジョバー方式だ。そして実績を挙げていくことで担当スペースの拡大を図り強いてはその店の取引高構成比も上げていくという戦略だ。当然これに関しては小売的な観点での分析力が必要であるし、商品陳列や販促ノウハウも必要になってくるが、中長期的に考えれば双方に取って大きなwin-winの関係が作れる。しかも店側に取っては仕入れリスクを最小限にし、常に鮮度の高い商品構成が図れ、少ない労力で店頭強化の柱も作れる。
催事はそれに平行してやれば良い。店頭と催事の両立が出来るということである。

そんなに簡単なことではないと一蹴されるかもしれないが、目の前の利益だけを追い求め、後で大きなしっぺ返しが来るよりかは遥かにいい。何度も言うが問屋はそれだけのどこも真似の出来ないポテンシャルを持っているということを自信もって認識して欲しい。あとはそれをどう使うかだけである。

本日のまとめ
1、 メーカーとは?そして今後は?
2、 問屋という業態のこれからの可能性
3、ラック&ジョバーでWin−Winの関係を作れ

これからどんどん新しいビジネスモデルが登場し選別されていく。今呉服業界でやらなければいけないのは「新規客の創造」と「客数増」だ。そしてそれぞれの企業が存続していくために取引間でもっと情報の公開をすべきである。これからの流通構造は情報公開することで互いに利益の共有が出来、川の流れをよりスムースにする。

着物業界は村社会の共同体。村社会は情報共有なくしては生きられない。

人気ブログランキングへ
  ↑
ここをポチっとお願いします!
あなたのポチっとがとってもうれしいのです!

|

« 甦らせるぞ!竹筬(たけおさ) | トップページ | 新しいものへの挑戦 »

ファッション・アクセサリ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1284655/33650939

この記事へのトラックバック一覧です: 呉服卸業が目指す今後を考える:

« 甦らせるぞ!竹筬(たけおさ) | トップページ | 新しいものへの挑戦 »