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2010年3月 1日 (月)

今夏ゆかた商戦いかに戦うか? 

3月に入り少しずつ春の兆しが感じられるようになってきた。そうはいっても寒かったり暖かかったりの毎日だ。そんなこの時期、浴衣に関わる業者は大忙しだ。染工場、メーカー、問屋は浴衣の納品に向けてピークを迎える。年末年始にかけて受注したものを現在フル回転で生産し、メーカーまたは問屋は雑誌やプロモーション、様々なチェックなどで忙しくなる。特に物量がものをいう浴衣はその準備を怠ると大きな機会損失となるから大変だ。
しかしながら、呉服業界としての浴衣売上は昨年、一昨年と苦戦続きである。また、アパレルや量販店などの参入で売上が分散化し、価格面でも呉服店は劣勢である。その中で今夏いかにゆかた商戦を戦うかを2回に分けて考えてみたい。

1、 ユニクロ、量販店恐れるに足らず。比べても意味無し
2003年ユニクロが浴衣販売を開始した当時はほとんどの呉服店が危機感を覚えたはずだ。その一方で不安をかき消すようにユニクロで浴衣が売れるはずがないなどの批判をしていた。ところがスゴイ勢いで売れ、呉服店はまるで大型SCにお客を持っていかれた商店街かのごとく、自店が売れない理由をユニクロや大型SCのせいにした。そして今でもそんなことを言い続けているところがある。

では本当にユニクロやハニーズ、イオンやイトーヨーカドーなどの量販店、他アパレルショップが浴衣を扱う事が呉服店で浴衣が売れない理由なのか?様々な呉服店に昨夏の浴衣動向を聞いてみるとやっぱりそういう答えが多い。そして具体的にどの年代がどのくらい減り、月別での前年比や、客単価、一品単価動向などを聞くと全く把握していない。分析や総括をしていないで売れないと言っていても改善はしないし、来期の商品計画もたてられないはずだ。ということはどの年代にどんな商品がどんなコーディネイトでいくらぐらいで売れているかをキチンと把握してないなら、仕入れたものはその店のターゲットを外している可能性が高い。それでは間違いなく売れない。

ユニクロの商品はよくマーケティングされていて、過去3カ年動向とトレンド情報を細部に至るまで分析しMDしている。当たり前のことではあるが。また量販店に関してもそれに近い形でメーカー、問屋での現物のピックアップをしている。そして価格はセットで3990円、4990円といったところがメインだ。イオン等の量販店のセットは低価格品もあるが着付けDVD付きの8990円〜12800円といったところがボリュームゾーンである。確かに安い。では弱点は何か?ユニクロの絶対的弱点はセットである事だ。セットは一見お客様にとっては買いやすく親切なように思えるが、お客様はコーディネイトを自分で選べないということだ。浴衣は気に入ったけれども帯は本当はもっと違う方いいが、セットだから仕方が無いというお客様も沢山いるはずだ。イオンやヨーカドーなどの量販店はバラでも売っているが、お客様はどう合わせていいか解らないのにアドバイスできない。アドバイザーが入っているが可愛い小物やアクセを付ける楽しみを提案出来ない。

呉服店での浴衣販売はどうか?ほとんどがバラで独立し、様々な色柄の浴衣を試着出来、専門のスタッフが個々の好みに合わせて提案してくれる。しかも可愛いアクセや豊富な数の下駄や帯、かんざしなどの組み合せが楽しめる。そしてなおかつ着付けも丁寧に教えてくれて、店によっては頼めば当日着せてくれる。その後のメンテナンスも引き受けてくれる。夏のゆかたを思い通りに楽しめる提案が出来るのは呉服店だけであり、お客様にとって本当に親切なのも呉服店なのである。この強みを呉服店自らが気付かなければ間違いなく取り残される。だから、ユニクロだろうがイオンだろうが全く恐れるに足らずであり、比較するだけ無意味である。

2、 浴衣扱いシーズン計画をたてる
ではいかにして浴衣最盛期にお客様を呉服店に向けるかである。そのためには浴衣扱いのシーズン計画を立てることが大切である。そしてそのためには目安が必要となるので、何度も言うが前年実績から様々なデータを抽出し、「どこが」「なぜ」「どうする」の観点で数字を総括することが重要である。

例えば7月の第3週からピークが来ているのなら、6月後半か7月初旬に予兆が出ているはずである。そこである程度の陳列スペースを確保して品揃えの豊富さを見せておく事でピークが始まった頃に買い回り候補店として必ずその店を見に来る。そのピークの時に売れている客層と単価を割り出し、それに合わせた商品を多めに6月後半から7月初旬の予兆時に見せておく。そうすることでピークに最も多いターゲットが買い回りに来る可能性が高くなる。といった分析から商品計画と陳列計画を立てる事が望ましい。

月別の目安としては、なるべく認知度を高め記憶をしてもらうために早めに出す事がポイントだ。そういう面から考えるとユニクロも今年は早めのPR陳列を仕掛けて来るだろう。

4〜5月→PR陳列。最小スペースで「もう浴衣?」という心理的にシーズン
    ミスマッチな印象を与える事で記憶と認知をさせる。またこの時期は
    学生の教材需要もあるので安価な反物も用意しておく。学生需要は
    バカに出来ない。ピーク時には帯や下駄、小物等を買いにリピート
    する可能性がある。また5月のGWは多少スペースを広げると有効
    な集客に繋がる。
6月→徐々にスペースを広げる。特にハンガーラックなどでボリューム感をだす
   ことと、必ずタイプ別、色の濃淡を意識してラックに掛け、できれば
   値段も明示するとより解り易い。またピーク前はとにかくトルソー
  (マネキン)を使ってスタイリング提案を心がける。年代別なら更に
   効果的である。
7月→一気に客数が増えて来る。データと周辺競合をよく見て陳列スペース
   を更に広げる。また演出として地元の祭り、花火大会、ゆかたで出か
   けるスポットの提案(カフェ、レストランなど)があるとより
   購買意欲を増長させ易い。帯、下駄、小物等も充実させる
8月→最盛期であり、陳列は最大にまた駆け込み需要も多いので価格表示の
   明確化は不可欠。また帯、下駄などは欠品が大きな機会損失となるの
   とメーカーが夏期休暇等で対応出来ない場合も多々あるので事前の
   販売予測と仕入れ量が決め手となる。また終息期をどこに設定するかも
   計画しておく。

と非常に大まかに月別での浴衣計画の目安を述べたが、大前提は自店の事前分析が必要である。また、細かな販促計画もたてるべきである。地域を利用した販促や、飲食店(スナック、キャバクラ、ラウンジなど)でのゆかた着用による集客プランのPRなどは大口売上に直結するので非常に効果的だ。このように事前計画は間違いなく成功へと導くし、計画通りにいかなくても「どこ」がおかしくて、「なに」が原因で「どう」すれば良いかがすぐに修正し易い。是非ともまだ細かな浴衣計画を立てていないのであれば実践してみて欲しい。

本日のまとめ
1、 ユニクロ、量販店恐れるに足らず。比べても意味無し
2、 浴衣扱いシーズン計画を立てる

次回のPart2では「年代別スタイリング訴求」と「ゆかた購入は将来のきもの客候補」といったテーマで考えてみたい。
とにかく浴衣シーズンは呉服店にとって年間で沢山の新規客を獲得する事が出来る最大のチャンスである。それを逃して通常月で集客出来ないなどというのは理由にならない。そのためにはしっかりとした計画とお客様に最大の満足が得られる商品構成とスタイリング提案と販売技術の習得を事前にトレーニングする必要がある。
何より浴衣を圧倒的な数量と自由なスタイリングで満足のいく選び方ができるのは呉服店だけであり、その着姿は素人が見ても解るくらい安価なセット品と比べて違いが明確である。そういう強みを全面的にお客様にアピールすることを心から期待したい。

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