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2010年4月 7日 (水)

Only one store

私はニューヨークが好きで年に1回は訪れる。きものと何ら関係はないのだが、心躍る物がある。特に様々な店を見て回るのが好きだ。定番であるブルーミングデールズ、メーシーズなどのデパートはもとより、キッチンや食器などの専門店であるクリエイト&バレル、ウイリアムズ・ソノマ、ペットショップのペトコ、SOHOにある和雑貨の店「きてや」なども面白い。まあ、定番中の定番なのでそう珍しくはないかもしれない。

ただ、いかにもニューヨークらしいショップがある。
ブルックリンにあるワインショップ「スミス&バイン」だ。この周りにはウォルマート、ターゲット、コストコなど大型ローコストストアチェーンの激戦区であり、通常の小規模店舗は非常に厳しい地域でもある。ところがこのワインショップは常に繁盛している。ここのオーナーはこの地域に3店舗出店している地域密着型ローカルチェーンだ。

なぜ繁盛しているのか?そのヒントはこの3店舗がそれぞれすぐ近くに存在し、それぞれが違う商品を扱う店であるということ。そしてそれぞれが繋がっているということである。
まずメインの店はワインショップ。ブルックリンは以前治安の問題があったが、現在は高級住宅街となり、富裕層が多い。このワインショップの品揃えも決して安いわけではないが、品質的にいいものを豊富に揃えている。

それだけでも大型チェーンとは差別化されているのだが、面白いのはその店の向かいに「スティンキー・ブルックリン」というチーズ専門店があることだ。しかもこの店は向かいのワインショップと同じ会社である。ワインショップでワインを買ったお客様はそのワインに合うチーズを向かいの店で買うのだ。それは共通のテーマによって結びついた異業種ローカルチェーンなのだ。

舌の肥えたニューヨーカーはワインの専門家がいるワインショップで美味しいワインを購入し、その美味しいワインに合うチーズを、同じチェーンでありチーズの専門家のいる向かいのチーズ専門店で購入し、大きな満足を得るのだ。これこそ大型チェーンにはない、差別化されたチェーンストアである。


オーナーの考え方は、顧客層をキチンと把握し、彼らの好みにあったものを提供する。そしてうまくいったら、常連客を掴んでいる地域内に店舗を展開するというものだ。しかもそれぞれが共通のテーマをもったカテゴリー内異業種店舗なのである。

そしてついに昨年の春にバー「ジェイクウォーク」を1ブロック先に出店した。バーを開いた理由として、ワインを買って、好みのチーズ買ったら、帰りにバーで一杯引っ掛けるというストーリーなのだ。そして、ワインショップやチーズ専門店の常連客がしっかりとバーを利用しているのである。

それぞれが共通のテーマによって結びついている一方で、品質、サービス、品揃えといった部分でそれぞれが群を抜いている満足度の高い店であるということから、利用者一人一人にとってはそれぞれの店が高い専門性のあるオンリーワンのショップなのだ。だから単体でも繁盛し、連動という形でも繁盛するのである。

これをきもの業界に置き換えることは非常に難しい。小売でいえば同一地域に振袖専門店と礼装専門店としゃれ着専門店を置くことは店舗の採算面から言っても非現実的である。ただ、範囲を広げて大手チェーン店が出店している地域特徴を生かした品揃えや店運営などの特色を出していくことは必要である。現に画一化から個別化を図ろうとしている努力はしているが、やはり直営店であるが故の壁は大きい。フランチャイズという形なら、1店1店がオーナーであるからその可能性は充分にある。もちろん専門店もそうだ。そういった本当の意味での地域密着は呉服店にも絶対に必要だ。それらが今後の小売店にとって大きな課題となることは間違いない。

各きもの産地でも同様である。産地という共通のテーマの中で各メーカーがどのような特色を出していくかが、その産地の魅力となり、結果的には産地活性化に結びついていく。いわゆる産地ブランディングとなるのである。日本の産地は村社会である以上は、その中のどこか1つのメーカーが突出したところで産地の活性化には結びつかない。メーカー各社がより特色のあるオンリーワン企業になることで、はじめてその地盤である産地が生きてくるのである。

これからの呉服企業は消費者視点からのオンリーワンショップ、オンリーワンカンパニーを構築する必要がある。

そして業界売上が3000億円まで縮小してしまったのであるから、もはや業界全体がきものという共通テーマをもった集合体であるという意識をもち、きものファンのための特色あるビジネスを期待したいと切に思う。


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