« 長襦袢のおはなし | トップページ | 自分の仕事とは? »

2010年4月22日 (木)

伝統的工芸品について考える

以前仕事で鹿児島の本場大島紬織物協同組合に行った時に、入口に貼ってあった伝統工芸士試験のお知らせを目にして改めて伝統工芸士のすごさを理解したことがあった。

経済産業省指定の伝統的工芸品は現在210品目あり、それに付随する産地組合は211組合である。そしてそれに従事する伝統工芸士の数は4568名である。
伝統工芸士の役割としては、伝統工芸士会の「伝統工芸士の役割」の中でこう書かれている。

「伝統工芸士は、伝統的工芸品の貴重な担い手として産地固有の技術・技法の研鑽に努め、その技を次代へ継承していくための中核の人材として期待されている」

また伝統工芸士は「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」の第24条の8項の中で定められた伝統工芸の技術を後進に伝える高い技術を持った社会的地位のある技術者なのである。その伝統工芸士になる為には、経済産業省指定の伝統的工芸品に12年以上従事しており、現在もその製作に関わっている人だけに受験資格があるのだ。

様々な分野の伝統工芸品があるが、私が専門である呉服に関わる分野においては「織物」「染色品」「その他繊維製品」の3つが該当するが、品目数は48品目と全体の約23%を占める伝統工芸を代表する分野であるといえる。私は呉服業界に従事しているので、ここでの話はどうしても上記の3つの品目中心に述べることになるが、他の指定伝統工芸品もどれも非常に素晴らしく、またかけがえないものであることはいうまでもない。

さて皆さんは全国にはかなりの織物や染物、小物などが存在することをご存知のことと思うが、伝統的工芸品に指定されているものは先述したように48品目しかない。これは何故かというと伝統的工芸品に指定される為の条件が法律で決まっており、各組合の申請によって審査されるからであり、それを通らない限りは伝統的工芸品として指定されないのである。


伝統工芸品指定の要件は
1、 主として日常生活の用に共されるものであること
2、 その製造過程の主要部分が手工業的であること
3、 伝統的な技術または技法により製造されるものであること
4、 伝統的に使用されてきた原材料が主たる原材料として用いられ、製造されるものであること
5、 一定の地域において少なくない数の者がその製造を行い、又はその製造に従事しているものであること。

としている。またその他も組合やその構成員についてなどの規定が細々とあり、そう簡単には指定されないのがよくわかる。

平成20年度実施の生産基盤と供給実態についてのアンケート調査で、今実際に大きな問題とされたのは、「後継者不足」と「生産基盤の問題」である。

「後継者不足」という面では、なにも伝統工芸品指定になっている者だけではないが、先に述べた伝統工芸士自体がすでにいなくなり、技術の継承が困難になっている物が存在する。これも呉服関連のみ挙げるが、「読谷山ミンサー」「喜如嘉の芭蕉布」などが伝統工芸士が既にいないものである。ただし芭蕉布に関しては平良敏子さんが文化庁指定の重要無形文化財技術保持者として認定されているため、伝統工芸士としては数に入らないので0人となっている。

また数人しか居なくなってしまったものが「宮崎本場大島紬」が2人、「宮古上布」が3人、「八重山ミンサー」が3人と非常に厳しい状況であることがわかる。また織物が多いこと、琉球染織が特に厳しいことが伺える。これは戦争が関連しているとのことと原料調達とその技法の難しさの両面も関与しているとのことである。

続いて生産基盤の問題としては織物、染色品ともに大きな問題となっている。特に原材料については調達コストの増の問題と材料品質の低下、人材の確保が同じ割合で挙げられている。また、生産用具についても調達が困難とされている物が多い。琉球産地で最も多い回答は「竹筬」であり、これは私が以前ブログの中で竹筬を取り上げたが、竹筬の生産自体が消滅の危機に直面しており、大きな問題となっている。その他、織機自体の調達、修理、シャトルなども入手が困難になっているとのことである。また染色品では「刷毛」という答えが非常に多く、刷毛には主に鹿毛などの獣毛が使用されるが、様々問題から調達が非常に困難になってきている模様である。また原油高による染料コスト増も大きく影響している。

もちろんその他にも販路の拡大が困難、売上の絶対数の低下、なども大きい要因となっているのは誰もが承知していることである。

一口に産地を守ろうといっても様々な問題があり、それらをしっかりと認識した上で考えていかなければならないと考える。現在、この伝統的工芸品産業振興協会が認定する「伝統工芸品産地プロデューサー」なる方々が185名いるが、少なくとも織物や染色品の分野でその方が活躍しているという話は全く聞かない。またそのプロデューサーと言われる方々もほとんどが大変失礼ではあるが高齢で評論家的な方々が多い為、なかなか行動できないのではないかと感じる。

私も今後取り組んでいきたい仕事は「産地ブランディング」である。非常に難しいことではあるが、今以上により深く産地の特色や現状、数値的なものまできちんと把握した上で、産地の活性化をライフワークとして取り組めたらと思っている。

伝統工芸や産地に関しては「こうすべきだ」などと軽々しく言える問題ではない。しかしながら、何かをしていかないとどんどん厳しくなる。とくに和装分野での伝統工芸は特にである。

そのために私に何が出来るか?をもっと突き詰めていきたいと思う。なぜなら日本の伝統工芸は絶対に世界に誇れるからである。それだけは間違いない。

人気ブログランキングへ
   ↑
こちらをポチっとお願いしますです!更新の励みになりますので。。

にほんブログ村 ファッションブログ 着物・和装へ
にほんブログ村
   ↑
是非ともこちらもポチッとお願いしますです!

☆ctrlキーまたはマックではcommandキーを押しながらバナーをクリックするとストレスなくポチっとできるというネタを仕入れました!!本当かどうかお試しあれ!

|

« 長襦袢のおはなし | トップページ | 自分の仕事とは? »

ファッション・アクセサリ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1284655/34330551

この記事へのトラックバック一覧です: 伝統的工芸品について考える:

« 長襦袢のおはなし | トップページ | 自分の仕事とは? »