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2010年4月20日 (火)

シフトする

4月から新社会人としてスタートした方々は、それぞれの職場で頑張っていることだと思う。また3ヶ月間は試用期間と定めている企業も多いことから、研修や職場でのOJT教育等様々な形で仕事を教えられていると思う。社会人として頑張っていかねばという決意のような気持ちとどこかまだ学生気分が抜けきれないでいるようなそんな状態の人もいるかもしれない。それはある意味仕方のないことでもある。

なにも新社会人だけではない。この春から転勤して新たな部署に配属された方や転職や久しぶりに働くことになった方もそれぞれ背景は異なるにしろ、新社会人とどこか共通するような気持ちであると思う。このように新しい仕事、新しい環境、新しい取り組みなど新しいものへシフトすると、様々な苦労やその状態に慣れるまでに時間を要するものだ。

そしてそういう時に限ってトラブル等の何かしらの問題が起こったり、職場の中で困ったことがあったり、気を遣いすぎて体調を崩したりと色々と降り掛かってくる。当然ながら、それを乗り越えながらその環境の一員になっていくのである。新しいことへのシフトとはそういうものだ。

そう考えると呉服業界も今は新しい段階へシフトしている最中なのかもしれないとも思える。

終戦後、日本は高度成長時代を向かえ、生活リズムが考えられないほどスピードが増した。きものを着るとわかる通り、早歩きはキツい。激しい動作も出来にくい。生活の中の衣服はライフスタイルに影響されるので、やはり着物が生活着であった時代はかなりのスローライフであったのだろう。もちろん明治期にはすでに洋装は入ってきているので終戦後に急に変わったわけではないが、高度成長という時代は所得倍増計画なる政府の宣言が時間のスピードも倍増させたのは間違いない。

それによって生活リズムのスピードが増し、普段着きものの生活がみるみるうちに減少していった。その一方で結婚式や結納、入卒の付き添い。お葬式に法事などいわゆるフォーマルの席にはきちんとしなければいけないという意識だけはまだ多く残っていた。そこで呉服業界は戦後のビジネスモデルの再構築としてフォーマルに賭けたのである。振袖、留袖、訪問着、黒紋付、色無地、付け下げ訪問着、そしてそれに付随する丸帯、袋帯、長襦袢や小物に至るまで、フォーマル商品製作の黄金時代を迎えた。まさに小売から生産者まで一体となった流通構造が出来上がったのである。

そしてその時代の主役であった団塊の世代が親となりそして定年によって引退する今日までその売り方と業界体質までが残ってしまった。

そしていま、消費者が主役の時代である。きものファンたちが着るイベントやおしゃれなスタイリングを工夫して楽しみ、ツイッターやミクシー、ブログなどのソーシャルメディアを使って情報交換や共有をし、一種のムーブメントを起こし始めている。

生産者もメーカーも問屋もそして小売も同様だ。フォーマル販売のビジネスモデルからシフトし始めている。フォーマルがいけないわけではない。フォーマルも必要であるが、今、きものファンたちは、もっと楽しく、もっと自由に、そしてもっと手軽に着物を楽しみたいのである。

そして業界もやっとそこへシフトし始めているのではないかと思う。それでも変われない企業は淘汰されていくだろうが、前向きに考えるならば今の大きな変化に対応すべくシフトしている最中なのかもしれないと考えたい。

新社会人や、新天地で新たな道を進もうとする人達と同じで、呉服業界も新しい道を進み始めたのではないかと考えたい。そしてその新しいビジネスモデルが確立するまでに様々な試練が訪れる。思うように売れなかったり、試行錯誤を繰り返すうちに新しいビジネスモデルが確立していくのではないかと考えたい。

きものファンたちが様々なシーンで店を使い分け、「借りる」「買う」「着る」「直す」を繰り返す。初めての人は「借りる」でもいい。あるいは古着や合繊、綿など比較的手頃なきものをネットショップやリサイクル店、専門店等で求める。そしてワンランク上の楽しみをしたくなったら、専門店や百貨店で求める。もうすでにそういう流れになってきているのだ。これはフォーマル販売時代は非常に少数派ではあったが、いまはそういう人が確実に多くなってきている。まさにシフトしているのだ。

新たな出発には困難が付き物である。困難故に疑心暗鬼になったり、批判の対象になったりする。しかし、「シフトする」ということは前に進もうとしていることだ。

今確かに、「不況」「嫌消費」「デフレ」などの状況がどっしりと停滞している状態だ。長い長い梅雨の真只中なのかもしれない。至る所で洪水や土砂崩れといったことが呉服業界を襲っている。対処のしようがないのかもしれない。

それでも志あるものが雨風を工夫によって防ぎ、堤防を築き、崩れた土砂を泥まみれになってならし固めようとしているかもしれない。

そして雨が上がった時、もしかしたら何かが変わっているかもしれない。全く新しい何かがそこに出来上がっているかもしれない。少なくとも私はそう考えたい。そしてその志あるものの1人でいたい。

呉服業界は今、新たなる道へシフトしているのかもしれない。


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