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2010年4月 9日 (金)

方針という名の指標

以前に堺屋太一氏の「組織の盛衰」という本を読み、実際に店運営のマネジメントとして実行し大きな成功をした経験がある。多くの方がご存知の通り著者の堺屋太一氏は小渕内閣時の経済企画庁長官を務めたり、森内閣時には情報技術分野での担当大臣を務めるなどの「政治家」としての一面と、多くの経済書や歴史小説などを著している「作家」という一面を持っているマルチな人である。

その「組織の盛衰」という本では「組織には機能体と共同体がある。機能体は組織の構成員がその組織の目的を達成するという共通の認識をもっている組織体で、共同体はその組織の構成員は自己目的に対して共有する人達の集合体である」確かそういう定義からはじまるものであったと記憶している。

当然会社は利潤追求を目的としている「機能体」であり、「共同体」は地域コミュニティやサークルなど非営利団体に多い。

最近、営業店のコンサルティングをすると実に「共同体化」している場合が多い。コンサルティングを必要とする店だから確かに何か問題点があるのだが、それが、売上不振でも、利益率改善でも、社員教育でも、店全体を見渡してみると共同体化してしまっている場合が多く見られる。

私も営業店の店長として大成功した経験と大失敗した経験を持っている。それを色々自分なりに総括してみると、やはり成功している場合は店が機能体化しており、失敗している場合は共同体化していたことに結論づけられる。営業店の目的は1つ、年間予算の達成である。これはどの企業も短期経営計画の中の重要項目である年度収益予算は一番大きな目的であるのと同じである。その目的に社員達が向いているかどうかが非常に大きなポイントとなる。結論から言えば、成功している場合はそれが出来ており、失敗している場合はそれが出来ていないのだ。

とはいえ、社員に対してその目的を意識して仕事せよといったところでそうなる訳ではない。現実的にその組織の目的をいくら掲げられてもそれに邁進していこうと心から思う社員はそうはいない。ならばどうするのか?

社員が仕事をする目的は十人十色である。「生活のため」「自己実現のため」「ひたすらお金のため」etc…。例を挙げたらキリがないほど働く理由は存在する。しかし組織の長は、与えられた予算や目標を達成する義務と責任があるため、その組織の目的を社員に対して強い意識付けをする。社員達はその企業から雇用されているのだから一応はその目的を理解するのだが、根本的には自分の目的と乖離するためその目的の優先順位は低くなる。
この状態が続くと次第に様々なズレ生じるため、組織として機能しなくなる。
更には社員の退職や、売上などの業績が上がらないため、人間関係の崩壊や会社や上長への不信などが生じその組織は崩壊に向かう。これが私が身を持って体験した大失敗だ。

そして逆に成功した例としては、その社員一人一人の「働く目的」の延長線上に組織の目的、私の場合は店の年間予算達成という目的があるのだという全員の共通認識が持てたことだ。こうなると店は強い。厳しい状況下でも社員が能動的に動く他、社員同士が協力し合う。当然売上という業績も安定するのである。ではどのようにして各社員の異なる「働く目的」を「店の目的」に結びつけられたか?である。

その答えはズバリ「店方針」である。そんなことは当たり前と思うかもしれないが、この場合の店方針はそう簡単なものではない。店で起こる全てのことがこの店方針によって解決されなければいけない。

以前成功した店で掲げた店方針は「新しいお客様が永遠に増え続ける店」だったが、例えば苦情が起きてその担当者も責任者もいない場合、店方針である新しいお客様が永遠に増え続ける店のために逃げずにベストな対応を考える。他には社員間のいざこざがあり、それによってお客様に不便をかけてしまったら、新しいお客様は増えない。結果それは店方針に反することになり、自分の働く目的にも繋がらなくなる。

など、全てのことが方針に繋がり、それに対する行動や自分で考えて行動した結果を上長からの評価という形で反映され、それが個々の働く目的にリンクするのである。この流れが功を奏し、社員間の仕事上の良好な関係や、お客様から支持される為の行動を社員達が自然にするようになった。

ある時は足袋をお客様がサイズを間違えて買ってしまったので取り替えたいという申し出があり、なんとそれを受けた社員は店の人数の状況を考えつつ、その日の店責任者にきちんと願い出た上でお客様に合うサイズの足袋をもってわざわざ取替に伺った。それに感動したお客様がそのあと長きに渡ってたくさんのご購入をして頂いただけでなく、自分のきもの好きのお友達をたくさんご紹介して頂いたという極端な例まで出た。

この例が良いかどうかは別として、方針が染み込むとここまで自発的に考える社員ができ、完全な機能体になるということを身を持って体験できたことは大きい。ただし、そういった「店方針」を決定するまでは、ありとあらゆることを想定し、一言一句を考えなければいけない。この場合は約2週間強かけてこの「店方針」を考えたくらいだ。だから一夜でどんなにいい言葉を考えついても、社員全員に浸透しないのだ。「店方針」は店の命なのである。

私も様々なたくさんの失敗と成功を経験しているが、営業店の立て直しなどのコンサルティングは絶対的に店方針を重要視する。これがないと何をしてうまくいかないか長続きしないのである。また「売上」「単価」「買上数」などは目標であって方針ではない。数字を方針にすると社員各自の働く目的に繋がらなくなってしまう他、売り手発想になり結果的にお客様の足が遠のく。あくまで、消費者視点が湧き出る方針でなくてはいけないのだ。これは方針を決める時の絶対条件である。

方針でなくても「個人の座右の銘」「企業理念」など様々な目指すべき方向性が存在すると思う。それらはどんなことが起きても原点回帰できるものであり、支えられるものである。不振であるとき、細かな枝葉を見る前にまず方針は何だったのか?ということに戻ることが必要なのだ。


あなたのお店、会社には「方針」はありますか?そしてそれはあなたの働く目的につながっていますか?

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