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2010年4月30日 (金)

今、足りないもの

世の中はいよいよゴールデンウイークだ。
不況ではあるものの、それでもどこかへ出掛けたり、旅行をしたりと少し無理をしてでも家族サービスや日頃のフラストレーションを払拭するような休日をとる人は多いと思う。もちろん私を含めてゴールデンウイークなど無い!全部仕事という人も多いかと思う。特に小売業は普段よりも大幅にお客様の数が増え、短期の繁忙期となるため休んではいられないといったところだろう。

今日、成田空港を見ようと出掛けてみた。昔から私にとって空港はどこかへ行けるような想像ができる楽しみの場だ。また色々な人間観察が出来る場でもあり、とにかく癒される場所なのである。特に今日からGWという人も多く、空港は予想通りごった返していた。噴火の影響で心配されていたヨーロッパ便もほとんどが平常通りのようで、その方面に旅行する人も今まで帰れなかった人達もとりあえずはひと安心であろうと思う。

旅行会社の調べで3月の日本出国者数は9%増の155万人だそうだ。大手旅行会社の1つであるHISは3月の海外旅行扱い高は13ヶ月ぶりのプラスであったそうだ。こういうニュースを聞くと何か希望らしき気持ちが湧いてくる。
必ずしも「景気回復」の実感は誰にも無いが、やはりこの動きは期待感が否が応でも高まる。

海外旅行は本当に手軽になった。
私の年代ではないが、昔は「あこがれのハワイ航路」なる唄に始まり、海外旅行はとっておきの旅だった。その旅費も給料を遥かに超えるような高額なものであった。当然のごとく富裕層といわれる人達だけの楽しみであったのは言うまでもない。

それが、格安航空券の出現によって格安なパック旅行が実現し年代を問わず、多くの人が気軽に海外旅行を楽しめるようになった。またプランの細分化によるホテルグレードや食事のランク、様々なオプションという選択幅の充実が個々の希望や欲求に合わせた自分だけのプランによってより充実した旅行が出来るようになった。


「国内旅行は安い」、「海外旅行は高い」という概念が、両者の価格差がなくなったことで、海外旅行自体の絶対数が増加したのだ。そしてその増加によって今度はクオリティを求めるようになってきた。飛行機はビジネスクラスでホテルは三ツ星級、レストランも二つ星以上などのハイグレードな旅も増えてきた。航空会社がファーストクラスやビジネスクラス、その他プレミアムエコノミーなどのハイグレードなシートのPRに拘るのもわかる。

もちろん国内旅行も同様だ。安上がりで行く国内旅行も依然として人気だが、その実ハイグレードな国内旅行プランがこの不況下の中でも人気だそうだ。

何故この不況下において国内、海外のハイグレードな旅が以前より売上増となっているかを考えると、単純に格安国内旅行や格安海外旅行の出現によって絶対数が増えたのである。絶対数というハードが増えることによってその中から質を求めるソフトがうまれる。より多くの利用者を増やすことは、ハイグレードを望む利用者も増やすことに繋がる。最初からビジネスクラスやファーストクラスを選択する人もいれば、エコノミーからのステップアップをする人もいる。これはやはり絶対数があって波及していくのである。

では、これを着物に置き換えて考えるとどうか?

いま、リサイクル着物やネットショップなどでかなり格安の着物が手に入るようになり、特にカジュアルきものを中心として動いている。また実店舗でもポリエステル、綿物、麻物なども動きを示している。まだ大幅に売上が増えているという状況には遠いが、少なくとも以前よりは動きを見せている。ある意味価格が熟れており、いうなれば「国内旅行」である。これに関してはやり方次第でまだまだ伸びる可能性があり、大いに期待したいところだ。

ただまだ足りないものがある。
「新品の正絹きもの」のエコノミークラス的な着物だ。
アイテムとしてはフォーマルでもカジュアルでもどちらでもいいのだが、上記の「国内旅行」的着物に価格的に肩を並べる正絹きものが絶対的に足りないのだ。ある意味ちょうど穴の空いたプライスゾーンだ。もっと端的にいえば、3〜5万円で作れる正絹着物。同じく帯。そして小物。要は10万円以内で仕立て上がって、しかも一式で着られる新品の正絹着物が足りないのだ。ここであえて「足りない」と表現しているのは、企業努力でそういった一式価格の正絹着物を展開しているところは実際にある。しかしながら絶対数としてなければ、「量というハード」が作り出せないのだ。

以前にもこのブログの中で考え方として述べたが、一式十万円以内という商品を10人にお買い上げ頂いたら100万円である。そしてそれ以上に着物をお買い上げ頂けたお客様が10人も創出できるのだ。これは小売店にとって何より大きい。その購入者がリピーターであれば更なる顧客深化が出来るし、新規であれば、新規顧客の創造が出来るのである。この部分が増えていけば、新規購入客は増え、裾野は広がり、やがてその中から更なる高みの着物を望むお客様が増えていくのだ。

しかしながら、この部分である「格安海外旅行」が絶対的にないのである。当然低価格設定は収益率を圧迫するだけでなく、大きな在庫リスクの可能性がある。また流通の問題があるので、具体策がないのに商品要望はし難いことは確かである。
しかし、エコノミークラスで旅をしている人が増えれば増えるほど、ビジネスクラスやファーストクラスに憧れを持つようになるのと同じで、いつかは良いものをと憧れるようになるのだ。

それぞれの段階で、厳しい中、各呉服企業が必死の努力をしているのは間違いない。ただ、できるものなら正絹のハイグレードも動かすためにも、是非とも様々なマーケティングした上で、仕立て上げて10万以内で一式揃うエコノミークラスの正絹商品を供給できるよう考えてもらいたいものだ。そうすれば、間違いなく絶対数という「量」が増える。収益率は厳しいかもしれないが、それは後で間違いなく取り返すことができる。なんとか検討して欲しい。

今、最も足りないものはそれだ。


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