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2010年4月 3日 (土)

縮緬のはなし

きものを連想させる言葉の代表的なものが「ちりめん(縮緬)」である。水戸黄門の中でもご隠居様である水戸光圀公は普段は「越後の縮緬問屋の光右衛門」と名乗っているのは有名な話だ。ところがこの設定はいささか無理がある。
水戸黄門ファンには大変申し訳ないが、水戸光圀=徳川光圀が生きていた時代は江戸前期。記録によると1628年生まれの1701年没。

この頃は、縮緬は大阪の堺から西陣に伝わっている最中。丹後に伝わったのは光圀の死後20年後くらいと記録に残っている。本格的な縮緬の流通というのは確立されていない頃なので、越後で縮緬問屋なるものがあったはずがない。

縮緬の歴史はやはり中国からの渡来である。天正年間(1573年から1593年)というから織田信長が生きていた最後の方の時代である。当時の中国は明の時代。その明の国から大阪は南泉州堺に伝わり、その後西陣に伝わり1720年頃に岐阜や丹後の加悦に伝わり、長浜に伝わり染色でも大きな貢献をしたのである。
縮緬技術の伝達経路は
堺→西陣→加悦→峰山→長浜→岐阜。また西陣から桐生、次いで足利まで広がった。ちなみにこの桐生に伝わった縮緬技術は八丁撚糸という1mあたりに約3000回転くらい撚りをかけて一旦糊付し、水をかけながらさらに逆回転の撚りを掛けていく非常に強い撚りの撚糸技術を開発し、それで作られた織物を第十一代将軍徳川家斉公が好んだため名付けられた「お召」というものに発展したことでも有名である。

ここで縮緬の代表的な種類を確認しておこう。

一越ちりめん
緯糸に左撚りの強撚糸と右撚りの強撚糸を交互に織り込んだもので、シボが細かく地風がなめらかな感触の丹後を代表する縮緬

古代縮緬
緯糸に左撚りの強撚糸と右撚りの強撚糸を2本ずつ交互に織り込んだもので、一越ちりめんに比べすこしシボが粗めなのが特徴。中には非常にシボが強いものがあり、「鬼シボ縮緬」と言われているものもある。

精華縮緬(パレス)
緯糸に左右の強撚糸を2本ずつ交互に織り込んだもので、経糸の密度はより大きく、緯糸の撚りはパレス撚りといって他の縮緬で使う強撚糸よりも少々甘めの撚りであるため、ほとんどシボが見られず、羽二重に似た見え方である。主に八掛や羽裏などに使用されることが多い。

その他専門的にいうと
「錦紗縮緬」「壁縮緬」「鶉縮緬」「横絽縮緬」「紋紗縮緬」「壁絽縮緬」「紋綸子縮緬」「紋美裳縮緬」「紋繻子縮緬」「綾浪縮緬」「紋変縮緬」「風通縮緬」「紋壁縮緬」「紋山縮緬」「紋意匠縮緬」「柞入紋意匠縮緬」「一越縫取縮緬」「紋綸子縫取縮緬」「紋美裳縫取縮緬」「紋意匠縫取縮緬」「防染紋縮緬」「変わり三越縮緬」などなどかなりの種類の縮緬が存在する。もちろんそれぞれに適した用途があるためだ。

また、縮緬も含め白生地は業界では目方で善し悪しを判断していた。特に生地の目方で約670g以上のものを「貫八」といい、高級品の代名詞的な基準の目方であった。貫八=一貫八百匁のことで、グラムでいうと6.7㎏強くらいである。ではなぜそういうのか?

生地の取引は1反単位でなく、10反単位で取引された。その10反分の目方から「この生地は貫八物」という呼ばれ方になったのである。
正確に言えば670gは180匁である。1匁は3.75gであるからそうなる。
これを覚えておくだけでもちょっとした自慢になるかもしれない。

また長さの規格は着尺で12.5m、長襦袢で13.5mであり、反巾は1尺が今の基本だ。

とにもかくにも白生地、そのなかでも「縮緬」呼ばれるものは、着物を作る上での基本中の基本の生地であるから、呉服関係者はしっかりとその知識を把握または身につけるのである。素材は命だからこそのことだからである。

だからこそ、着物を連想させる言葉が「縮緬」になるくらい、全ての後染め着物に対して関わっているといっても過言ではない。

であるのに、丹後に行くと昔よりも静かである。昔は歩いているだけであちこちから織機の音が鳴り響いていた。ところが、近年、呉服の売上不振の影響でものが売れなくなり、メーカーも商品をつくらなくなっている。それはどういうことになるのかというと、こういうことになるのである。

白生地は呉服業界の縮図ともいえる。このままいけば真っ先に和装生地産地は息絶える。すでに各産地組合の精練所は廃業が相次ぎ、長浜や五泉などはなんとか稼働しているものの殆どの白生地の精練は丹後の組合の精練所に集中している。それでも人を減らさなければ運営出来ない状況だ。

こればかりは、黄門様が印籠をかざしても解決出来ない難題である。


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