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2010年5月15日 (土)

呉服業界の気配

今週も面白いくらい忙しい日々であった。
火曜日は愛媛県の新居浜、水曜、木曜は京都でコンサルティング業務、社内セミナー講師、金曜日は東京でセミナー講師、京都モール打合せ、ネットショップ起業希望者の打合せなどの3件。本日もうちくい展訪問、その他打合せなどなど、そしてまた月曜日は京都で会議。めまぐるしく様々な予定が入りブログも更新する体力が残っていなかった。

もちろん仕事であるし、忙しいのが大好きな性分であるため、体力的な疲労は感じるもののモチベーションは常に高い。自分が好きな仕事をしているという時はきっと脳から大きな幸福感を感じるような成分が分泌されているのだと改めて感じる次第である。

業界各社を回ってみたり、会議やセミナーの講師をして、その社員さんと沢山の意見交換をしていると色々なことが浮き彫りになってくるし、いわゆる現実問題が見えてきて非常に興味深い。しかしながら、共通して言えることはこの状況をなんとか打破したいという思いであるということは間違いない。

しかしながらここへ来て、気配を感じるようになった。

それは何かというと、厳しい現状を踏まえつつもこれから先どうあるべきかを考える企業ととにかく今をどうにかしないと生き延びられないから、今年、今月をどうするかという企業とに分かれてきているということだ。

どちらも間違いではないし、正否の問題ではない。市場縮小のなかでの企業存続はどういう選択をするにしろ、その企業の経営陣が現状を踏まえた上で決定した経営方針であるからである。それを部外者がどうこういう問題ではない。ただし、厳しいながらも社員が元気になる、あるいは意欲的になるのは、これから先どうあるべきかという「長期展望」を見据えた経営方針を打ち出している企業である。

私の仕事は何度も申し上げている通り、きものビジネスコンサルタントである。小売、卸業、メーカー、その関連企業を問わずに経営戦略や営業戦略、社員教育から営業支援など必要とされる仕事を請け負う。その中で私が一番訴えていることは「企業の長期ビジョンの明確化」である。今後どうしていきたいのか?或はどうすべきなのか?という部分をビジネスモデルとしてのビジョンを状況を踏まえた上で提案し、それに共感してもらうことで顧問として取り組んでいく。

だから、今はそれどころではなく、目の前の数字が最も重要だという企業からは当然お声は掛からない。またそういう企業はいわゆる催事屋と呼ばれる、売上請負人的な人たちが単発で数字作りをしていく。それはそれでその会社の現状を踏まえた経営であるから間違いではない。

現在一番特徴的なのが卸業である。いわゆる問屋である。この業種の方向性は真っ二つに分かれている。
1つはとにかく効率の良い催事での数字作りに重点を置く「催事偏重型スタイル」

もう一方は小売店が永続することこそが問屋の存続であるという「小売と問屋の協業スタイル」である。

これについても以前のブログでお話ししたが、私の考え方は「小売と問屋の協業」こそが呉服業界の市場を維持した上で回復させるというものであり、その考え方がより普及することで幅広い商品が流れるようになる。幅広い商品が流れるようになれば生産が出来るようになる。そして川の水が流れ出すことにより、支払条件も改善に向かうという論理である。

これは問屋でなければならない。なぜなら、メーカーと問屋では流れる商品の絶対的物量が違うからである。ならば催事偏重型営業でも大きな物量が流れるではないかという意見もある。もちろんそうだ。しかし、そればかりだと小売店の顧客は枯渇し、いずれ存続出来なくなる。これではまったく意味がないどころか、衰退の一途を辿る。


私の持論としてこれからの呉服業界に必要なことは、市場売上規模3210億円のうちの約30%強に当たる小中規模の専門店の存続を第一考え、そのために、大きな販売ネットワークを持つ各卸業が小売と協業することによって、絶対的な物量を動かし、尚かつ新規顧客開拓及び顧客維持までもサポートするような役割を担うことである。

まだまだこの発想は、ほとんどの企業で「ただの理想論」としてしか今は思われていない。「そうはいっても」になってしまう。現状の小売店も問屋と協業なんて冗談じゃないというところがほとんどだろう。だから私も地道にアピールしていくしかないのだが。

しかしここへ来て、そういう経営方針でいってみようというところも出てきている。これは何かを変えなければいけないという強い危機感と5年先、10年先を見据えた長期ビジョンをも考えていることに他ならない。そういうところが出始めて来た事自体、呉服業界にほんの少しの変革意識の風が吹き始めたことを感じられる。これは今までにない良い兆候だ。

私も全面的にそういう企業とは取り組んでいくことになるが、形になるまでは確かに時間がかかるかもしれない。その問屋の社員に言われた言葉が心に響く。

「石崎さん。あなたの考えは今の業界の状況を考えるとアフリカのサバンナのど真ん中で靴を売るくらい難しいかもしれないが、もし本当にそれが出来たなら、我々は小売店に貢献出来る物凄い問屋になれるかもしれない。」

この言葉だけで、きっとなにかが変わるかもしれないという期待感が湧いてくるし、勇気づけられる。

こういう企業が出てきただけでも、何かがゆっくり動き始めているのかもしれない。

そういう気配を感じる1週間であった。


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