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2010年5月25日 (火)

まずは正しく売ることに尽きる

5月も下旬に入り、梅雨入り前のいつもの気候になってきた。4月から5月の初旬にかけては異常ともいえる肌寒さが続き、衣料を含め、季節商品を扱う業態は春から大苦戦した。ここから是非とも巻き返しを図ってもらいたいものだ。

ちなみに呉服業界は今、催事などの展示販売会が各地で行われている。毎年恒例のものや、5月本決算の会社は決算売り出しなどで大忙しだ。だが、話を聞くと売上自体はやはり芳しくないようだ。以前からブログで話している通り、催事偏重型の営業をし、店頭から新しいお客様を作ることを怠ることで、お買い上げ頂けるお客様がどんどん少なくなっていく。これが現状の大きな問題である。

そしてまた、呉服の展示販売会というと過去の例からしてどうしてもお客様にとってはイメージの良くない言葉となってしまっている。「行けば買わされる」「入ったら出れない」「執拗にお勧めされる」そういったイメージはどうしてもこびり付いているのであろう。

非常に悲しいのは、様々なメディアによって1つ1つの事例が大きく誇張され、しかも呉服や宝石などの販売方法が「悪徳商法」の代名詞となっていることは、業界に携わる人間として非常に遺憾である。

「実際にそうじゃないか!」「私もそういう目に遭いました!」「私の知り合いが被害に遭ってます!」恐らくそういう声は多いと思う。確かに一部の心ない誤った売り方によって過去にそういう事例があったことも否定出来ない。また、それが、大きなチェーンなどの名の知れた企業であったりするので残念なことではある。

しかしながら、今呉服業界は「販売方法」として業界を挙げて正そうとしていることは確かである。特にほとんどの大手チェーンはコンプライアンス(法令遵守)に対しての厳しいガイドラインを作りそれを実行している。また、特定商取引法の改正や割販法の規制強化などにより、そういった誤解を招くような販売方法が出来なくなったことも大きい。


私はあえてここでデータをもって業界を弁護するが、消費者庁が先に出した特定商取引法違反による業務改善命令及び業務停止命令のデータを見ると、過去7年間ですべての業種でそれらが出されたのは合計701件。そのうち処分をうけた呉服関連企業は実に4社なのである。構成比にして0.6%だ。逆に最も多い業種は「浄水器販売」「健康食品」「リフォーム」である。

このデータから見ると呉服販売はイメージは悪くとも実質は改善されつつあるといっても過言ではないと思っている。ただし、1件の重みが半端ではないというのもこれまた事実である。金額的にも大きく、展示販売会自体の規模も大きい。勧誘方法も大々的だ。だからどうしても1つ1つが目立ってしまう。イメージが先行してしまうことは本当に残念だ。

ただし、そうはいってもまだまだこういうことに疎い企業もあることは否定出来ない。だからこそ呉服業界の人間とはいえ、早急に改めるようにこのブログを通して進言したい。

現在、改善の傾向にある背景には割賦販売、いわゆるクレジット販売の規制強化が挙げられる。お客様がクレジットを利用して購入した場合、その契約書のすべてにおいて1つでも書き漏れがあるとクレジット会社は受け付けない。また、お客様の購入意志が明確であることを証明するために、契約内容の電話での確認は24時間以降と決められている。

これによって、契約書は記入したけれどもやはり購入を取消したい、またはもう少し購入を考えたいなどとなった場合でも翌日確認時にその意向をクレジット会社に伝えることで契約を解除出来るのである。

またクーリングオフ制度の強化も販売の清浄化に一躍を担っている。クーリングオフ制度は多くの消費者が高い認識を持っていると思うが、購入日から8日間以内は無条件で契約解除が可能なのである。もともとは訪問販売法の中にあったものであるが、この法律が特定商取引法となりより強化されたのである。


クーリングオフはその名の通り「無条件での契約解除」であるから、どんな理由であれ受けなくてはならない。また、その申し出を引き止めては行けないのである。

これらの規制強化によって消費者の保護はより高いレベルとなっている。ただし、これらのことを店員も消費者もしっかりと認識する必要もあるのだ。逆にこれらを認識することによって、心証的に入りづらい呉服店でも安心してみることが出来る。「買わされる」ということは基本的に無いということだからである。販売する側は法に抵触することをしっかりと理解し、消費者側はどんな法によって守られているのかを知る必要がある。それによって安心して店や展示販売会を利用出来る他、無用な争いを避けられることになるからだ。

消費者の方々に是非とも理解して頂きたいのは、着物という商品は通常の商品と違い、自由に選び、購入を決められるようなものではないのだ。やはり、呉服店員のアドバイス、商品説明、コーディネイト、比較、そしてお勧めがなければなかなか決断出来ない買い物である。いわゆるコンサルティングセールスでなければなかなか難しいのである。これは高い安いはあまり関係ない。呉服店に勤めたりでもしなければなかなか理解できないかもしれないが、浴衣1つとってもお客様を放っておいたら高い確率で購入には至らないだろう。

試着をして、きちんと説明し、キチンとコーディネイトし、他の物ともきちんと比較をして、納得のいくお勧めがあって初めてお客様が満足してお買い上げ頂けるのである。

今呉服販売は清浄化している最中である。
だからイメージ先行で呉服販売自体がすべて非難の対象となり、消費者から敬遠されることになると呉服業界はどんどん萎んでいってしまう。

だからこそ今、「正しい販売」が必要であり、「消費者は保護されている」という認識を売り手、買い手がきちんと持つことでより清浄化していけると思う。

そして今はまず、呉服店が買えるお客様も買えないお客様もすべて大切にすることが大前提である。

とにかく「まず正しく売ること」に尽きる

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