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2010年6月11日 (金)

話し手と聞き手

今週からきもの専門学校での授業が始まった。
私が担当する授業は「商品企画・マーケティング」だ。毎月に1度の授業を通してプロと同じように「作品」ではなく実際にお客様に売るための「商品」を作っていく。そのためにきちんとしたマーケティングをし、グランドデザインを作り、商品企画書を作成した上で原料調達、商品製作、パッケージングを経てお客様に販売するという一貫した流れを全て学生個人個人がやっていくという本格的な授業だ。

今週はまず「呉服業界の流通と仕組み」を講義し、その後に「商品企画の基本」「実践流れ」と合計3コマの授業を行った。

初めて顔を合わせた学生たちは、もちろんごく普通の女性ばかりであるが、それぞれが皆、着物が好きで和裁や着物そのものを一所懸命に学んでいるのだなと思うと心から嬉しくなる。だからこそ、呉服業界の現状はしっかりと正しく伝えながらも、そこから未来に夢が持てるような授業をしなければいけないと真剣に思った。

1コマ目は「呉服業界の流通と仕組み」についての講義を実施した。生産者からメーカー、問屋、小売に至るまでの大基本の流通構造とそれぞれの役割と現状。そしてそこからまた細分化した流通の仕組みなどをわかり易く講義したつもりだ。生徒を4人並ばせて、生産者から小売に見立てて売り買いの流れから小売値段が決まっていく仕組みを説明したりした。学生達はかなり興味深く聞き入ってくれているようであった。

2、3コマ目は「商品企画と実践」について講義を実施し、まずはどういう流れで商品製作をしていくのか?ということを1つ1つの項目を時間を掛けて行った。上記でも述べたが、よくありがちな卒業制作的な作品制作なら、自分で決めたテーマとそれにあった材料があれば後は修得した技術で作り展示するだけだ。

しかし、今回はお客様に実際に販売するための「商品」をつくる。だからまずはマーケティングから必要になる。商品マーケティングは様々な方法が存在するが、まずは難しいことよりも「誰に」「何を」「どのように」に沿ったシンプルな考え方で入った。企業バイヤーでいえば「戦略的商品分析」となる部分である。

ただ学生達には柔軟な発想と自由であることを尊重し、制約や枠に当てはめないということを強調した。ここで「こうしなければ」というものを作ってしまうと学生達の個性や柔軟性を消してしまうことになる。ただヒントや考え方だけは多少示さなければこれもまた悩んで妥協してしまう。この加減が難しいところだが、何とかそこは伝えられているのではないかと思っている。

授業を気付くことは、初めは緊張して講義を聴いていたのか、あまりリアクションを感じなかったが、講義が進むにつれ食い入るように聞いている人、うんうんと頷きながら聞いている人、しきりにメモを書き込んでいる人などそれぞれのリアクションが強く感じられるようになってきた。

面白い話には笑い、問題のある話には真剣な眼差しになったりとリアクションであるが打てば響く状態になったのは理解と共感が少しずつ得られている証拠であるが故に非常に嬉しいことである。

これが企業のコンサルティングの中でのセミナーや会議になるとほとんどの人が中々響いてくれないものである。もちろん話し手のプレゼンテーション力も要因となるのだが、どこかで「理想と現実は違う」「そうはいっても」「面倒くさいことが増える」などといった悪い経験則からなる聞き方をしがちである。そうなると例え世界一のプレゼンテーション力と言われているスティーブ・ジョブズのプレゼンでさえ響かない。

やはり話し手の技術も絶対的に必要であるが、聞き手の姿勢も絶対的に大切である。過去の経験からも成績の良い小売店でのミーティングは社員達の聞き方が素晴らしい。リアクションも大きく、常に何かを求めようとする聞き方である。まさに打てば響く状態である。


これから私が呉服企業や小売店で話をする時に、どうすれば聞き手がこういう状態になるかを考え、意識して話さなければならないと強く感じている。
何故伝わらないのかを聞き手に対して憤りを感じるのではなく、伝わらない話し方をしている自分がいけないという思いを持つことが大切なのではないかと最近になって強く感じる。

聞き手の姿勢は大切である。しかし、話し手となった時自分がどれだけ相手が聞く姿勢になってくれるような話し方や話の進め方が重要である。

話を真剣に聞いてもらえないと嘆く前に、自分の話し方に問題がないかをチェックすべきである。


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コメント

話す力と聞く力、それはそのまま
お客様(メーカーならバイヤー、店なら来店客 等々)との
コミュニケーションにも通じるものだと思います。
両方が備わっていなければ、
お客様のニーズを把握することができないし、
的確な商品や企画を提案して、
相手を納得させて採用(購入)して頂くこともできませんから。bearing


投稿: まろん | 2010年6月12日 (土) 01時23分

toまろんさん
コメント有り難うございます!
まさに仰る通りですね。私もバイヤー時代や営業時代もすべてはコミュニケーション能力にかかっていましたからね。
とかく話が上手い人は聞くことが下手だったり、その逆もあったりと難しいものですが、必要なスキルですね。

投稿: from 石崎 | 2010年6月12日 (土) 01時29分

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