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2010年12月

2010年12月28日 (火)

年末のご挨拶(クライアントに向けたものです)

ごあいさつ
本年は誠にお世話になりました。
呉服業界を取り巻く環境は依然として厳しく、2009年度呉服小売市場の最終売上規模は3420億円という数字が発表されました。
小売、卸業、メーカー及び生産者、業界に従事する様々な業種も全てといって良いほど前年を下回る実績という非常に厳しい状況であります。

ただし、その中でも前年を上回っている企業も徐々に増加傾向にあることも事実です。また中期予測としての小売市場規模は今期である2010年度は3000億円、2011年度は2800億円と更に減少傾向にはあるものの、底打ち感が出始めていることも事実です。

その大きな要因として、上記の市場売上規模3420億円には写真館や小売店のきものレンタル売上は含まれておらず、その売上規模も2000億円と拡大しつつあり、それを含めれば呉服小売は5000億円強の大きな市場であるということも再認識し、そういう意味でも底打ち感と言っていいのではないかと思います。

ここで我々が考えなければいけないのは呉服市場はすでにデフレ型ビジネスであることを理解せねばならないのに、未だにインフレ型ビジネスを続けているのではないかという「気づき」です。
消費者が感じている消費価値観や高額商品に対する認識のズレが呉服業界と消費者の間に大きな溝を作っているのではないかということを今一度気づくことが重要であると思います。

2010年を終え、新たに2011年を迎えるにあたって、私達呉服に携わる者がまず目を向けなければならないものは「顧客を改めて知る」ということなのではないでしょうか。是非とも実りある1年にしていきたいと思いますし、今後の私としてもそのお手伝いを全力でさせて頂く所存です。

今後とも宜しくお願い致します。


(これは当社クライアント様に向けたレポート形式の年末挨拶です。実際にはこのあとに全国の小売店の生の情報や現状と振袖商戦に向けたマーケティング結果から考えつく提案やアドバイスなどをまとめ、クライアントには送っています。それ以外の方でご希望の方は当社HPの「お問い合わせ」から企業名、お名前、ファイル形式(PDFまたはWord)などを記載の上お知らせ下さい。もちろん無料です)

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2010年12月18日 (土)

自己否定する勇気

早いものでまた1年が過ぎ去ろうとしている。
ピンと張りつめた空気が年の瀬を否が応でも演出する。クリスマスも近いこともあって、イルミネーションもよりいっそう美しく目に映る。1年中見ることの出来るネオンでさえ、聖なる日と新年の訪れを告げているかのように錯覚するのは私だけではないかもしれない。

今年を振り返ると自己否定の連続であった。

今年はより多くの人や企業と出会い、仕事を共にすることで沢山の発見と沢山の考え方を得ることが出来た。それによって自分が今まで経験したり、スキルとして身につけてきたり、確信していたことも通用しないことが今ではたくさんあるということを改めて思い知った1年でもあった。

決して思い上がっていた訳ではない。正しくは未知の世界や進化した世界を体験出来たと言えよう。そしてそれを受け入れたり、自我を捨てたりすることは恐ろしく勇気がいることだということにも改めて思い知ることにもなった。

企業で社員教育セミナーや営業の勉強会、商品戦略や営業戦略の会議などで講義する場が数多くあるが、それを受けている人の反応は様々だ。
食い入るように聞いている人、一心不乱にメモを取っている人、ぼーっと聞いている人、否定的に首を傾げている人、居眠りしている人etc…
居眠りしている人は問題外としても、間違いなく否定的な人も多数いることは間違いない。その多くはやはりベテランと言われる社歴の長い人に多く見られる。

まあ無理もない。自分が今まで作り上げてきた実績と経験はそう簡単にその考え方を変えれる訳がない。ある意味成果を出したからこそ自分のやり方や考え方が出来上がった訳であるから、もしそれを否定されるような話なら、懐疑的にならざるを得ない。というより到底それを受け入れることは出来ない。私も全く同じだ。

しかしながら、真理として間違いなくいえることがある。

それは「成功した事例は成功した時点で過去になる」ということである。同じやり方で永遠に成功し続けられることは皆無であるということである。これはヒット商品でも命あるものでも政策でもとにかく全てのものに言えることである。

自分はこのやり方でずっとやってきた。だから今更変えられない

こんな言葉をよく聞く。生き方や自分のスタイルという考え方でいえば、とても真摯で拘りのあるものであると関心する。しかし、企業においてはその組織の成長の妨げになるという危険もある上に、企業が変わろうとしている時にそれを阻止するようなマイナス分子になりかねない。

もし組織の構成員であるならばそのトップが変わるべきと判断した場合は、それに従う義務がある。残念ながら雇用されているというのはそういうことだ。もしそれが大きく誤った経営判断だとしたら根拠と説得のある準備をして、きちんと議論すべきである。もしそれもせず、ただ単に自分の経験を否定されることが嫌で拒むのであれば、その組織からはずれ独立すれば良い。

それさえしないでただ受け入れないのは、程度の低いわがままである。

少なくとも私はその組織の中では自分の考えを実現することが出来ないと思ったから独立した。もちろん恐ろしく苦労はしたが。。。

私が言いたいのは今までの経験や実績や成功体験を時代や環境の変化に合わせて進化させるべきだということである。そのためには自己否定をする勇気が必要であるということだ。「今まではこれで良かったが、これからは通用しないかもしれない」という考え方を勇気を持ってすることである。

農業に従事している友人から学んだことだが、今は種を蒔くだけでは芽が出るとは限らないという。以前のように豊かで栄養の多い土と水、きれいな空気などがある程度安定した天候と相まって今までの経験だけで農作物を作ることは出来なくなってきているらしい。

生活用水の汚染によって水や土が汚れ、工場や排気ガスなどによって汚れた空気と環境破壊による異常気象の影響によって日毎に環境が変化していることで、経験や勘や今までの成功体験が役に立たないという。

しかし彼がいうには、そこまで環境が変化しても嘆いていられない。その中でも環境の変化に順応して農作物を作り出荷していかなければ生きてはいけないからだ。だから、今まで培ってきた経験や実績をもとに環境の変化に創意工夫をして対応し、土を作り、水を清め、天候不順にも対応するための新しいやり方を作り上げていくことで農作業も進化させるということがこれからの農業に必要なことだという。

ならば、ビジネスも同じだ。今までの自分の経験や実績を元に社会の変化、消費者の変化、法の変化などありとあらゆる現在進行形の環境の変化に新たな考え方を柔軟にプラスして変わっていかなければならない。いや、そう出なければ絶対に生きていけない。

その第一歩が「自己否定する勇気」だ。それは自分を失うわけでも今までの自分を卑下する訳でもない。今まで培ってきたものはどんなに新しいことを取り入れたとしても良い意味で絶対に忘れないし離れていかない。その上で変わる努力をする。または進化したいという意欲を持つ。これに年齢は関係ない。

今の呉服業界は変えられない人と変えようとする人で二極化している。しかも残念ながら両者の共通点は「短期展望型ビジネス」である。今のままでは呉服業界に未来は見いだせない。なぜなら短期展望型ビジネスはただの延命措置型ビジネスだからだ。

ではどうすべきか?長期展望型ビジネスの勧めなどといっても現状もままならない状況では誰もそんなことを考えない。生きるのに日々必死だからだ。

しかし、一つだけ出来ることがあるとしたら、やはり「自己否定する勇気」を持って「どうすべきか?」を考え続けることだ。そうすれば少なくとも今以上の「何か」が生まれる。そして少なくとも今以上に「ポジティブ」になれるはずだ。

呉服業界の大気汚染は進行しているのかもしれない。しかしその中でもやれることは必ずある。そのために「自己否定する勇気」だけは常に持っておきたい。そして「ポジティブな自分」だけは絶対に忘れたくない。

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