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2012年6月

2012年6月27日 (水)

あこがれのハワイ航路

ALOHA!

などと浮かれつつ、久しぶりのハワイ旅行を私の新婚旅行を兼ねて面白いメンバーで行ってきた。

そのメンバーは私のクライアント先でもある九州の大型きもの専門店オーナーとそのお姉様、京都の大手問屋D社社長のO氏とK社社長のN氏、そしてクライアント先さんのお客様(いわゆる一般着物ユーザー)と私の妻である。

今までハワイに限らず海外旅行というとどうしても現地オプショナルツアーやバスやタクシーの名所や有名店などガイドブックでの移動となり、ありきたりの内容になってしまいがちだったが、今回はクライアント先さんのオーナー姉弟が若い頃ハワイに居住していたこともあり、レンタカー移動&そのオーナーさんの案内で今までに無いハワイを満喫することが出来た。心の底から感謝感謝である。

そして夜はその濃い同行者で毎晩夜中まで熱い業界討論となった。
昼間は旅行だからこそのオチャラケお楽しみモードから一転、夜は業界の流通においての問題点や改善すべきこと、未来創造など、コンサルタント同士ならばただの討論会で自己満足に終わりそうなところだが、相手は室町の実力者であり、有力な専門店オーナーでありと若手経営者としての評判も高い人達。私もこんなチャンスは滅多に無いと思いっきり提案や問題を遠慮なく投げかけた。
それにもまして、ユーザーの立場である方のダイレクトな意見も入り、連日有意義であった。

出たのは「問屋の役割は何なのか?」「業界人が着物を着てまず着物を知ることの重要性」「メーカーも生産者も小売も問屋も流通カテゴリの取引はすべてフラットでなければいけない」「着物ユーザーを向き、生産者を向く卸」「ITインフラの重要性の再確認と実行」などなど他にも様々な話題が出た。

流通段階での問屋、いわゆる前売問屋と言われるカテゴリは確かに問題点も多く、色々言われているが、私は以前から「何といわれようと問屋は絶対に必要なカテゴリである」と言い続けてきた。これは今でも変わらない。
そして今回同行した室町の大手問屋の若き経営者は「業界人のきもの意識」に皆さんが思っていることと同様の大きな問題点を感じていた。

ならば「経営者なのに何故すぐに変えられないのか?」という疑問も湧くだろう。これに関しては経営者とは言え、考え方を社内に浸透させていくことは容易ではないのだ。これが数百名の社員を抱える大組織になればなるほど、その時間は掛かるものである。何にしても、会社としての収益維持をしつつ、様々な改革をしていくのは確かに時間がかかり、長く根付いた社風や社歴の長い人が多ければ多いほどその発想の転換は恐ろしいほどの労力がいる。

ここまで書くとただの問屋擁護の言い訳にしか見えないかもしれないが、私がここまでいうのは、今回感動したことがあるからだ。

何故なら今回の旅で浴衣を着て食事会をしたのだが、これは私が提案したのではなく、この問屋の若手社長から「私のドレスコードは着物です。だから1日でいいから着物を着ましょう!」という提案があったからである。
この提案は本当に嬉しかったし、ポーズではなく心の底から着物が好きで、着物を扱い会社だからこそ、自らが着物を着る楽しさやそこから得るものをユーザーや取引先へ発信していきたいという思いを熱く語る姿に未来への光を感じたからだ。

「売る為の着物と言う商材」から「感動商材である着物」へ。

これは着物を楽しむユーザーはもちろんのこと、ものづくりに携わる生産者やメーカーだけでなく、その思いを乗せて着物をという商材を多くの人に提供する問屋にも同じ思いの人がたくさんいて、なんとか変革していきたいというと思っていることを確認出来たことだけでも、私にとって非常に意味ある旅であったと感じる。


それにしても、私はこういう旅でも仕事というか業界ネタが付きまとう。そういう星のしたに生まれたのかなという錯覚に陥るほど業界のことが頭から離れない。
またしても父の教えを思い出した。

「仕事以外の趣味などとオマエごときの人間が思うな。この業界はいくつになっても赤子と同じ。寝食も含め全て仕事と思え。それが出来ないなら呉服業界で仕事するなどと甘えたことを言うでない」

「憧れのハワイ航路」はやはり仕事に続いていた(笑)

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2012年6月12日 (火)

石崎流「元気なお店の作り方」

呉服業界は厳しい、小売の現場も厳しい、「厳しい」という言葉を毎日のように聞くので耳にタコが出来ている。確かにそうだが、そういつもいつも連呼しなくともと思う。

小売の現場においては、誰もが皆「厳しい」という状況はわかっている訳で、それぞれがその中で努力しようとしているのがよくわかる。
ある店では経営者が非常に厳しく社員を叱咤激励?し、ある店ではただひたすら「頑張ろう!」を連呼する。そしてどちらも状況を打開出来ずというのが多くのパターンであろう。

お店にとって売上というものは色々な意味で不思議な力を持っており、売上が良い時は社員が抱えている問題や不満は以外に表面化せず、売上が厳しい時に一気に表面化してくる。これはほとんど例外無く起きていることで、それが酷くなるとその仕事自体の否定にまで及ぶこともあるくらいだ。

これは一体何故なのか?ずっと考えてきた。

よく小売業では「売上は全てを癒す」などと言われており、お客様にお買い求め頂いた時のあの何とも言えない快感は販売を経験したものでしか味わえない。特に、着物のような商材は俗にいう「コンサルティングセールス」と言われており、きちんと商品を勉強し、お客様のご意見を聞きながら商品を提案し、他の様々なものと比較しながら、お好みのコーディネートでお見せして、そのお客様がイメージして頂けるような状況を作る。それによってお客様が悩みながらも自分を信用して頂き、商品に惚れて頂き、最終的にご提案とオススメによってご購入の決断をなされた時のあの嬉しさは何ものにも代え難く、感動し、ある意味全てが癒されるのである。

しかしながら、そうでない場合は悲惨だ。上からは「目標や数字」の重圧を受け、自分が親切丁寧に心からお客様と接していると、「効率が悪い」「なぜもっと積極的にオススメ出来ないのだ?」等と言われ、モチベーションは下がっていく一方。そしていつのまにか、「数字が欲しい」というだけの心理状態になり、お客様がお金に見えたり、お客様を見る目が獲物を見つけた虎のような目つきになっている。

そしてだいたいが後者の場合が多いようだ。それもよくわかる。確かにお店を存続する為には安定的な売上数字は不可欠であり、それをスタッフに目標と言う形で割り振り、日々、または月単位でチェックしていくことが、現実的な最善策だと考えられているからだ。とは言え、そこだけを詰められると、ある意味数字に脅迫されているような錯覚さえ憶える。そうなるとお店の空気は一気に負のスパイラルへと突入するものだ。こうなると修正は本当に時間が掛かるしスタッフ同士の人間関係まで崩れていく。

私の場合は月初めや期の初めに必ず店全体でミーティングする。

そして一方的な話ではなく、パネルディスカッションのように全員参加型のミーティングだ。
特に期の初めは重要である。1年間のお店の方向性や方針を決める場であるからだ。とはいえ、一方的に経営者が考え下ろしていく従来のやり方では、なかなか浸透しない。経営者側の「伝えた」「意識させた」という自己満足とスタッフ側の「とりあえず聞いた」「とりあえず理解した」というその場だけの認識度が温度差を生みやすいからだ。

ここで私流のやり方を少しだけ紹介する。

全員に自分のお店が理想のお店なったとしたらどんな状態なのかを全員に意見を出してもらう。例えば

① お客様が気軽に入店出来るお店
② 着物のことなら何でも相談出来る頼れるお店
③ 季節ごとに品揃えが充実していてそれが美しくわかり易く陳列している
④ 常に新しい情報を発信していて、いつ来ても新鮮なお店
⑤ お値段が良心的な安心なお店

などといったようにそれぞれが理想のお店像を出してもらうのだが、この時点ですでにスタッフがどんな思いで仕事にあたっているかが垣間見えるし、スタッフ同士で自分以外の人がどう思っているかがわかるのでこれだけでも非常に効果的である。

そしてここから皆に2つに絞り込んでもらう。2つのグループがあったら、各グループで1つに絞る。そうでない場合は多数決でもよい。とにかく全員で2つに絞り込む。

2つに絞り込めたら、その絞り込んだ理想像はどのようにすれば実現可能かを導き出す。
例えば、②の「着物のことなら何でも相談出来る頼れるお店」が選ばれたのなら、どうすれば何でも相談出来る頼れる店になるかを全員で考える。色々な意見が出るのだかが、全てを否定してはいけないし、スタッフが口を開いている最中は絶対に遮ってはいけない。とにかくズレていようが的を得てようが最後までしっかりと発言させる。
そしておそらく②の答えとしては「メンテナンス部門の充実」などが出てくるだろう。

そうしたら、更に突き詰めていくように、どうメンテナンス部門を充実させるのか?具体例や考え方を導き出していく。そうすることで「全員で考えたこと」「全員で導き出した方針だから」という個々の責任感がでてくるのである。そうなると会社方針は自分たちで決めた!というモチベーションにも似た状態になり、少しずつ少しずついい方向へ動き始めていくのだ。
今ではどんどんスタッフが自分で考え、お客様を常に意識しながら、ミーティングでは自分の主張をはっきり言えるようになってくるから、コンサルタントの私としては非常に充実感を感じる。

スタッフ達はただの雇用者ではなく、その店を代表する大切なスタッフであり、働くことへのモチベーションは全員の意見から1つのことを導き出すことで、やらされているのではなく、やろう!という空気になっていき、全員が前向きな元気なお店へと変化していくのである。

色々な考え方があるにせよ、「石崎流」はまずスタッフからなのだ。
それにもちろん経営方針は経営者とじっくり詰めるし、もっと現実的な部分で方針を固める。しかしながら、社員全員が店運営をしているのだという意識が必要だと私は思う。

スタッフ1人1人がその店にとって無くてはならない存在であることを実感出来る店づくりが石崎流店づくりなのである。是非ともお試しあれ!!

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