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2015年9月

2015年9月27日 (日)

私の仕事とは?

「あなたの仕事はひとことで言うと何ですか?」

最近、きもの業界では多少名前が知られるようになって、よく聞かれることである。確かにたくさんの仕事をしている。きもの業界に特化していることは間違いないが、小売店、流通、産地、商品企画プロジェクト、世界市場創出などその中のジャンルはかなり多様化している。

肩書は呉服業界プロデューサーであり、マーケティングディレクターである。これだけはこの業界の人達は何やらわからない。

そこで自分の仕事を振り返るように私のプロジェクト対する手法を例にとって自分の仕事とは何かを考えてみた。

1つのプロジェクトを立ち上げるとき、そのプロジェクトの目的をどう設定するかがプロジェクトメンバー、クライアント、支援者に対しての重要な要素になる。

そして目的とその手段のバランスが成功か失敗かを左右する。またその目的が多く存在すると手段が増加し、戦略が分散化してしまうことでプロジェクト本来の目的と次第に乖離しやすくなる恐れがある。それ故に「目的はシンプルな方が良い」といわれるのだ。

私自身は目的は「大目的」「中目的」「小目的」と段階的に分けて、プロジェクト本来の目的である「大目的」を階層化することを心がけている。

例えば、「きものを作りたい」という大目的があるとしたら、その手段は無数にあり、絞り込みは非常に困難である。着手することが多ければ多いほど力も分散し、戦略の効果も分散してしまう。それによって本来の目的までのタイムラグが生じ、いつの間にか「いまやっていることがきっと成功に繋がるはず」という精神論に変化し、プロジェクト自体が揺らいでしまうことは多々ある。日本人によくある傾向だ。

そこでその大目的を更に「中目的」に分ける。その中目的をさらに小目的に階層化し、それぞれの小目的に対してはじめて「手段」を構築する。そしてその手段によってそれらの小目的の達成基準を設定し、達成した時点で中目的の手段を設定するという階層化と段階的な成功基準を定めてそれぞれの階層を本来の「大目的」に近づけていく。

最も単純な階層として示せば「きものを作りたい」→「きものを売らねばならない」→「きものを売る仕組みを作る」といった達成目的の階層化が必要であるということだ。

私自身はマーケティングディレクターとしてプロジェクトの戦略を考えるときに常にこの階層を考える。

そのために必要なことは成功の鍵のという点を線でつなぐためのKFS「Key Factor for Success」を考え、それをプロフィットツリーというツールに描くことをする。頭のなかで考えるだけでは限界があるし、パートナーの選択というものも目的に最適化してなければただの友達探しになってしまう。だからこそ文字通り成功するためのコンテンツを絵に描くことがプロジェクトを成功させるために最重要要素と捉えている。

いま、ありがたいことに沢山のプロジェクトに関わっている。それぞれに考えることは違うが、手法や手段は同じである。それをどう構築し、成功に導いていくか?が自分の仕事の醍醐味であると思っている。

そこで改めて自分の仕事とは何か?と聞かれたときにこう言おうと思う。

「きものに関するすべての事業の願望を現実化する仕事」が私の仕事である。

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2015年9月 9日 (水)

いま私が考えていること

きものがSNSを中心に情報が表面化してきて、若い人たちや色々なグループが新たな動きをしたりと風が吹き始めていると感じる。恐らくここ5年の急激な流れの変化だ。

個性的な企業やショップが出現したり、新たなビジネスモデルやヒット商品がどんどん情報として流れたりとネットの力もそれを後押ししている。

とても良いことだし、もっともっと盛り上がって欲しい。

ただ、気になるのは「なぜ市場の絶対額が伸びないのか?」である。前年は伸びるどころか更に縮小している。もちろん経済状況もある。2014年度は増税の反動減も影響したといわれ前年比94.7%であった。今期は回復傾向とあるが、増税の反動減で約7%市場が下がり、今期回復傾向といいながら1%しか回復しない予測。

30年ぶりに市場が前年を上回った2013年も前年に比べて1%の増だったことを考えると、2013年の3010億円に戻るためには、単純に7年もかかるということだ。もちろん今以上のきものに対する市場開拓を続けたとしての前提だ。

また市場が上下する中でも着実にその構成比を伸ばしているのがネット小売だ。2014年度は18.9%と一般専門店のシェア22.1%に迫ってきている。10年前のネット小売は5.6%、5年前は15.7%と伸ばしてきている。もちろんネット小売店舗数の増加もあるが、一般専門店のシェアは10年間で約10%もシェアを落とし、現在も減り続けている。

市場はGDP(国内総生産)の原理と同様に絶対市場人口に比例する。特にニッチ市場は高齢化した既存顧客商売になっている一般専門店と潜在需要客を含め絶対数にアプローチできるネット小売とではこれからどんどん差が出てくる。そのためリアル店舗はネット小売との連動としてオムニチャネル化を意識するのだが、経営者や従業員の世代交代や顧客の世代交代が出来ていない多くの一般小売店はそこに着手することは現実的に難しいし、跡継ぎがいない、または跡継ぎをしないということになれば金融機関からの資金融資も難しくなり、時代の変化への対応はできずいずれ店を畳むことになるというのが私が危惧している未来現実の1つだ。すでにそれが始まっていることも現実である。

この状況が続けば間違いなく近いうちに一般専門店とネット小売の売上構成比は逆転する。そう考えるときものの価格に対する概念と流通に求められることは大きく変わるだろう。

ただ、前述したとおり、こんなに近年きものの情報が表面化してきて、色々な動きが出てきているのに、絶対市場が伸びず、販売チャネルの構成比だけが変化しているという状況は、実は大して全体には広がっていない内輪ウケ状態なのではないかということを感じる。

いわゆる「きもの脳を持っている人」を刺激しているだけで、まだ「きもの脳になっていない人」にはまったく届いていないということなのかもしれない。

市場の拡大は「潜在意識の顕在化」と同時に「新しい価値創造と主体性」によって成り立つと言われているが、「きもの脳を持っていない絶対数」に対して今の流れをいかにアプローチしていくかが、市場を広げる大きな鍵となるのではないかと考えている。

再来年4月には消費税が10%になる。更なる消費価値観による消費の選別が始まる。だからこそ経営資源の投資の仕方のパラダイム転換がいよいよ必要になってきたと考える。

要するにまだまだ我々は「お茶を濁す程度」の段階であるということをもっと自覚せねばならない。

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