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2015年10月 3日 (土)

いまこそ本当の意味で未来現実という予測を!

「未来現実を考える」
これは私がずっと言い続けてきたことだ。今回はこの重要性を再度お伝えすべく、再度浮上してきた成人年齢問題を主な例にあげて記してみる。

来年成人を迎える女性は約60万人。その8割が購入、レンタル、親、または親族のを借りるなどいずれかの形で用意するとして、現時点での振袖市場の一人あたり単価で考えると960億円となる。5年後は57万人にまで減る。同じ状況で市場規模を考えると912億円。5年間で約50億円弱も減少する予測だ。
市場はGDP同様、人口の増減に左右される一面がある。振袖市場は成人人口に左右されると仮説を立てたならば、もし民法の成人年齢引き下げに伴う各地方自治体が成人式出席対象の年齢を同様に引き下げた場合、その実施時期や振袖着用人口に大きな影響を及ぼす可能性がある。
もちろん専門的に言えば、振袖は成人式のユニホームではない。振袖の歴史的背景を語れば、昭和の中期頃に始まった成人式での着用慣習とは全く関係ないということも事実だ。
また和装業界も努力をしてこなかったわけではない、現在のようなレンタル主流になる以前(平成の始めころ)までは購入がほとんどだった。
しかしながらバブル崩壊など、日本がデフレ傾向へ転換したころからレンタルという流れが強まり始めた。

それによって各メーカーや流通もそれまで購入の場合「振袖一式100万」といわれたものが、現在の平均価格は「振袖一式30万」まで単価を落とした。確かに伝統工芸などの手工業生産からスクリーン捺染またはインクジェットなどの技術転換などをすることとなったが、これによってレンタル価格(平均で15万〜20万)との差を最大限に縮め、産地生産量の死守をしてきた努力と言っても良いと感じる。そしてそれによって少子高齢化による成人人口が減少する中で振袖市場を何とか守ってきた。

ただでも人口減で市場減少する中、制度によって更なる市場減少を強いられるのは致命的である。

振袖市場は和装業界にとっては重要なカテゴリであり、まずは糸と生地に関しては絶対生産量を支えているものでもある。安価な価格の振袖は輸入生地も多々あるが、丹後にせよ長浜にせよ、俗にいう4丈物といわれる長さの生地の絶対生産量は3丈物よりも単価が取れるということもあり、生地産地にとっては非常に重要な製品であることは間違いない。

またそれを作るための原料を担う業者、織り子、などもそれに連動する。
現在はインクジェットなどのデジタル捺染が主流になっているが、なにも自動的にできるわけはなく、図案やその他生産にたずさわる全ての人に大きな影響を及ぼすくらいのインフラが整ってしまっている。

振袖という衣裳文化の根本を考えなおすことは、日本人として大切なことである。ただし、それは市場創出や市場維持とはまったく別の考え方を現時点ではしなくてはならない。

「作る」と「売る」は一体化したものであり、絶対市場が崩壊すれば、作るどころか本質的な文化の継承まで崩壊する可能性もある。

当然ながら国としては民法の成人年齢引き下げにおける経済への影響を間違いなく考えている。だが、人口減で市場が1000億円を切り、将来性に疑問を感じる特定市場と、18歳に引き下げることでシェアをさらに拡大できる市場を比較すれば、どちらを選択するかは言うまでもなく明らかだ。
この件については次にまた経産省の和装振興研究会のような会議に招集されれば、そういったことも現実的なデータを踏まえ提言したいと思っている。

いま、和装業界は次世代のユーザー、気づきのユーザーが増えてきており、「きものを着る・楽しむ」というユーザーの絶対数が増えてきている。その証拠に和装小売市場の17%がインターネット販売によるシェアであり、ここ3年で5%強拡大してきた。これはチェーン店を除く、一般呉服専門店シェアの22%を恐らく数年のうちに越すことになるだろう。

これは私が主催している呉服業界若手経営者の会で4年前から未来予測してきたことだ。なぜなら着物を着るユーザーと現時点での小売店の顧客は客層が完全に乖離しており、現小売店顧客はスピードを増して枯渇すると話してきた。
だが残念なことにこの話を小売店組合や問屋の組合の講演などでこの話をしても「そんな馬鹿なことはあり得ない。着物は手に触れて買うものだ。いい加減なことを言うな」と相手にされなかったり、笑われてきたが、もうすぐそれが私の予測通り現実になる。

それに増して、振袖顧客という呉服店の新規客の絶対数が激減することになれば、恐らく小売店として成り立たない店が数多く出てくるだろう。そうなってはいけない。
我々和装業界は販売チャネルを減らしてはならないのだ。

私は精神論や理想論でものごとを提議するつもりは全く無い。私はマーケッターでもある。現実的な数字を元に全てを予測したり提案したりする。もっといえば、誰にでも出来ることをしている。誰にでもできることだから、その予測はほとんど当たる。予言ではなく数字推移から立てる「予測」だからだ。

誰にでもできることだから誰もが考えて欲しい。
今が良いのなら次の準備を。今が良くないのなら、どこが原因で、なぜそうなり、どうすれば良いのか?を自社の数字が教えてくれるはずだ。

いまこそ本当の意味で未来現実を考えて欲しい。どういう社会に変化したとしても、そこに必ず活路はある。

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