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2019年4月

2019年4月18日 (木)

パッケージの重要性

パッケージの重要性は商品のデザイン性や品質と同じくらいに消費者にとっては重要なものである。身近なところで言えばApple製品などはシンプル且つ商品自体に対面する前のワクワク感をそそるようなパッケージになっている。ビックメゾンと言われる高級ブランドなどもペーパーバッグ含めたパッケージへのデザイン追求にも手を抜いていない。Youtubeでも商品の開封動画などが人気であり、パッケージの紹介から開けるまでのワクワク感が視聴者と共有する部分でもあるのだ。

小売店で言えば百貨店などはそれぞれに特徴を持たせ、どの百貨店で買ったかが一目でわかるよう各社が差別化しており、贈答品においてもどこどこの百貨店で買ったとわかるような包装紙や紙袋によって自己顕示欲と贈り主の気持ちをそこに乗せていると言っても過言ではない。

 

着物業界に目を向けると、着物を包むたとう紙や納品箱に対してそう言ったこだわりを持っている店は非常に少ないように感じる。数十万もするような着物も数千円で買える浴衣とおなじたとう紙を使っていることが多い。多くの店主はたとう紙はできるだけコストを抑えられれば良いというようなスタンスで和紙風のパルプ紙製だったりすることも少なくない。

 

納品箱においてもそうだ。出来上がり納品は一昔前までは呉服店の係がお客様宅まで持って行ったが、現在はお客様に店まで来ていただいて納品するため納品箱に入れてお持ち帰りいただく形が多くなったのだが、その箱においてもデザイン性や品質などにほとんど気を使わないので、お客様の反応としては「家では邪魔になるもの」という印象が強くなっているようだ。

 

パッケージは商品を価値付けるために実は非常に重要なアイテムであって、絶対に軽視してはいけないものである。ましてや着物のようなある意味他と比べて高価なものなら尚更である。

 

マーケティング的にパッケージの効果をいうと、パッケージがもたらす提供価値は4つに分類され、機能としての「合理的側面」と心理的な「情緒的側面」があり、それをさらに購買場面と使用場面という項目に掛け合わせる形で分析されるが、ここでいうパッケージはどちらかというと情緒的側面の効果によって中身の商品が見えなくてもその商品を視覚的に価値付けることが出来、それがまた消費意思決定や消費意欲につながると思われる。またそれを売っている店やメーカーのブランド認知度として大きな役割を示すこととなることは明らかである。故にこの業界においてパッケージをただの納品処理物として考えてしまい、そこに投資しないことは自ら製品価値を初めから落としていることになるやもしれない。

 

唯一この業界で素晴らしいと思えるパッケージを採用しているのはY&Sonsというきものやまとが運営している男物専門店のパッケージだ。ある意味合理的側面と情緒的側面をしっかりと考慮した上でパッケージをデザインしている。なによりかっこいいし、もしかすると多くの人がそこに着物が入っているとはほとんど思わないだろう。写真は著作権の問題あるのでそれらを紹介されているサイトのURLを貼っておくがやはり流石の着眼点だと感じる。

https://storgram.com/post/BrwouG_ng6l

 

いま着物業界でも若い店主やメーカーが色々と努力しながら着物を広げようと努力している。着物をファッションとして確立したいと頑張っている。であるならば、消費者に対してもっとカッコいい、おしゃれなパッケージも同時に考え提案すべきではないか?と考える。そして「お金があるから出来る」とか「大きな企業だからそこまで出来る」なんて考えることを放棄したような言い訳ではなく、消費者が「カッコいい!」「欲しい!」と思ってもらえる商品とパッケージの両面から自らの商品や店自体をブランディングして欲しいと願っている。

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2019年4月 2日 (火)

「将来の自分を作る最高の嫌な仕事」

331日にある企業の新入社員研修の講師をしました。

その中でこんな話をしました。

「つまらない」「嫌だ」「こんなことをする為にこの会社に入ったわけではない」と思うことがこれからたくさん訪れます。

私も企業に20年いましたが、まさにそんなことの連続でした。

新人でお店に配属された時は、誰よりも早く来て掃除をするのが嫌で嫌で仕方ありませんでした。ですが商品を綺麗に直しているうちに自然にどこに何があるかを覚えていました。

また在庫が減るペースが早い商品と遅い商品で売れ筋と死に筋を覚えていました。また何が欠品しているかもすぐわかりました。それら全部が無意識に身に付いていたことです。

 

本社の商品部バイヤーの新人の頃は来る日も来る日も入荷、検品、出荷、返品をしていました。憧れていた役職に就いたと思ったのに、アルバイトでも出来るような仕事をなぜしなければならないのかとおもいました。しかしながらそのおかげで商品を触った瞬間に目付や反幅がわかるようになっていました。どの商品がどこのメーカーで作ったものか?がすぐわかるようになっていました。また納品が遅れている商品があった時に先輩から「産地に行って手伝ってこい」と言われ、整経や織機の準備を訳も分からず手伝いました。なんで私だけこんな目に合うのだ、先輩たちは商品企画やマーケティングをしているのに、なぜ私だけ、、、と毎回思っていました。ところが、そういう手伝いをしているうちに織機の仕掛けや織難が出た時の原因や改善策がわかるようになっていました。やはりこれも全部無意識のうちに覚えていました。

多くの新社会人の皆さんは初めての連続の中で、楽しいことよりも嫌だったり、想像と違ったりすることの方が多いと思います。ですが、その全てがすぐに意味を見出せない、または結果の出ない「点の経験」をしているのだと思います。ですが、後で必ずそのいくつかの「点の経験」が線で繋がった時に自分が追い求めていたことや成果という結果に結び付きます。

私自身も今独立して何とかなっているのはそれらの「点の経験」があったからです。というよりもそれが今全てに関わって、しかもそれによって今の仕事が成り立っていると言っても過言ではありません。

 

「こんなことをする為にこの会社に入ったわけではない」「つまらない仕事だ」と思ったその瞬間の仕事こそが「点の経験」なのだと思います。そして必ずそれはどこかで自分を助けてくれると思います。
そしてそれは将来のあなたを価値づける「将来の自分を作る最高の嫌な仕事」だと思って向き合ってみてください。

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